青春の光と影が詰まってる。

 このところ雨や体調不安で映画鑑賞抑えめになってましたが、間遠になるとだんだんウズウズしてくる。観たい映画ももちろん幾つか残ってるので、この週末、どれか観てこよう、と火曜くらいから時間割を睨んで思案し続けていた。
 ……なんでみんなこんなに朝早いの? 最近みんな早起きなの? 前はもう少し遅い時間帯スタートが普通じゃなかった??
 いったんは、週明け以降にしよう、と投げたのですが、昨晩、作業の傍ら気晴らしに映画館の時間割を眺めていたら、とうとう我慢出来なくなった。チケット購入に踏み切ったのは、とっくに上映当日となった深夜2時くらいだったと思います。
 お昼に双麺で食べたい、という理由から劇場は錦糸町。移動経路の都合で、朝ドラを観つつ身支度を済ませるのが理想、でしたが、あまりにギリギリにチケットを確保したせいか、目醒めたのはちょうどいい時間だったのに、我に返ったのはけっこう危うい頃合い。大急ぎで起き出して、荷物を作って階下に行き、朝食と身支度を急ピッチで片付けてお出かけ。
 幸いだったのは、予定よりも天気が良く、バイクで出かけられたこと。公共交通機関で行くと、やや迂遠なルートになるので、起きた時間だと間に合うかどうか、というところでしたが、バイクのほうが移動はしやすいのです。無事、余裕を持って現地入り。
 TOHOシネマズ錦糸町オリナスにて鑑賞したのは本日の作品は、午前十時の映画祭14上映作品、歴史があり貧富や人種を問わず演劇、音楽を指導する公立芸能学校を舞台に、オーディションを経て入学した生徒達の4年間を描いた群像青春劇『フェーム(1980)』(MGM映画=CIC初公開時配給)。……別にこれでなくても良かったんだけど、錦糸町で、私の生活ペースを乱すほど早起きする必要がなかった作品で、観ておきたかったのはこれだけだったのよ。
 冒頭から雑多さと熱量に圧倒される青春ドラマ。それぞれに出自も性格もまるで異なる若者たちが、音楽に、ダンスに、演劇に、それぞれの専門分野で名声を夢見て学ぶ。シャイで母親の言うがままだった生徒はいつの間にか親に反発し始め、付き添いから目をかけられた貧しい少年はしばしば教師に楯突き、早々にリタイアする者もいる。本格的に芸能界に打って出る前なのに、公立学校にしてその悲哀に厭と言うほど直面する姿が瑞々しく、痛々しい。
 そんななかでときおり繰り出される楽曲の、実にパワフルなこと。休憩中の食堂で自然発生的に演奏される曲と、様々な懊悩をそのままに突入していくエンディングは特に圧巻です。アカデミー賞では作曲、主題歌部門の両方に輝いたそうですが、それも納得。
 あくまで、オーディションから卒業までの4年間を描いているだけなので、中心で描かれた学生達がその後どうなったのか、は想像するしかない。ただ、芸能という世界に生きようとする人々の光と影はここに凝縮されている感があって、2時間ちょっとの尺ながら密度が高い。見応えのある作品でした。

 映画を観たあとは、錦糸町駅前のほうまで歩いていって、目論見通り双麺にて昼食。前回の来店からちょっと間が空いたんですが、見慣れた店員さんはちゃんと覚えてくれている感じ……こうなるとあんまし別の店に立ち寄る気がしなくなるのだな。他にはない、つけ麺の極太平打ち麺もお気に入りだし。
 それにしても、雨が降らなかったのはいいけれど、そのぶん湿度が高い。数日前の、焦げそうな暑さはなくても、全方位から蒸される感覚もまたしんどいものがあります。あちーあちー呻きながら、バイクで家路を急ぐのでした……うっかり、いつもと違うルートを通ったら、こんなときに限って妙に詰まってたり、工事で封鎖されてたりして、余計に時間がかかってしまった。

TOHOシネマズ錦糸町 オリナス、入口手前の通路壁に掲示された『フェーム(1980)』上映時の午前十時の映画祭14案内ポスター。
TOHOシネマズ錦糸町 オリナス、入口手前の通路壁に掲示された『フェーム(1980)』上映時の午前十時の映画祭14案内ポスター。

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