p> 8月2日に、2018年12月リリースの『心霊盂蘭盆Vol.6 タロットサジェスト』を鑑賞。ある樹海で自殺者の痕跡を探していた大学生を襲う恐怖の一部始終《死者彷徨う森》、独自の降霊術を試した女性に訪れた異変《降霊祓》、投稿動画の現地調査を行ったテレビ番組のスタッフが遭遇した怪異の記録《怨毒の伝言》、タロットを用いて遊んでいた人々が見舞われた恐怖を追った前後篇《タロットサジェスト》の全5篇を収録。
投稿者に直接、映像の出所や撮影背景について確認出来る、というくだりがあるだけで、本流と言える『心霊曼邪羅』よりも本数は少ないけれど、撮影者が味わった不安、恐怖がより実感しやすくなる。今回は、『呪われた心霊動画XXX』ではよく見る警告つきの動画に、前後篇のエピソードまであって、更に込み入って、危険性の増した映像っぽさが出てます。
率直に言えば、最終的な怪異の顕れ方が一辺倒なのは派生元の『心霊曼荼羅』と同じで、「溜めておいてこれか」という感はほぼ全エピソードにある。ただ、そこまでの展開はそれぞれに変化と意外性があって面白い……全般に、「危ないからやるなそんなこと」とツッコみたくなる展開が多いのもこのシリーズの傾向ですが、だからこそ危うい映像が撮れる、という側面もなきにしもあらず。
巻末は初の前後篇エピソードですが、これも率直に言えば、わざわざ前後に割るようなものだろうか、という疑問は覚えます。たとえば、まったく別の投稿者が異なった経緯で、結果として同じような怪異を記録してしまったのなら、まだ前後篇とした意味を感じる。しかしこの後篇、前篇の投稿者が紹介したもので、しかも怪異の主人公となった人物は一緒。同じ人物で2度、同じような怪異を記録した映像が撮影された、というのは充分におぞましいし、顛末も怖い、とは言えますが、ほとんどひと連なりなので分ける意味は感じなかった。何より、《怨毒の伝言》は実質、ふたつの投稿映像で構成されてるけど、単独のエピソード扱いになってるし。
ただ、今回も全体としては普通にショートホラーとして楽しめるし、一定のリアリティは確保している。成長の芽は相変わらずちらついている……このまま衰退していく例の方が多かったりしますが、引き続き借りて観ます。
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