激戦地に埋もれた青春。

 プログラム切替直後の月曜日……ではありませんが、先週は完全にそれどころではなかったので、午前十時の映画祭14の鑑賞を1週遅らさざるを得ませんでした。ひさびさの映画鑑賞であります。
 そして毎年10月は、大つけ麺博に会わせて、映画鑑賞のメインを新宿にする時期。今年の大つけ麺博は次の木曜日スタートですが、それに先駆け、日本ご当地ラーメン総選挙2024が開催されている。こっちも1回は訪れておきたかったので、今日から新宿メインに切り替えます。
 快晴、しかもお昼頃には30度近くまで上昇する、という陽気なので、折角だから、と久々にバイクで移動……が、先週ず~っと悩まされていたお腹の不調が、ここで襲ってきた。旅行中はなりを潜めていましたが、日常に戻った途端にぶり返してきたらしい。普段利用している駐車場は今日の目的地であるTOHOシネマズ新宿までちょっと距離があり、歩いている間に決壊する恐怖すら現実味を帯びてきた。そこで、久々に映画館の入っている新宿東宝ビルを直接訪ねてみた。ここにもいちおうバイクの駐車スペースはあるのですが、台数が少なく、1日の最高料金は500円とはいえ、普段使うところに比べると割高感は否めない。しかし、背に腹は代えられない、と突っ込んでみたら、幸運にもスペースがあった。微妙に斜めのまんまバイクを駐めてエレベーターで劇場に直行、チケットの発券も後回しにトイレに駆け込み、どーにか事なきを得ました……どうなることかと思った。
 何はともあれ鑑賞した本日の作品は、『セブン・イヤーズ・イン・チベット』などのジャン=ジャック・アノー監督2001年の作品、第二次世界大戦でソビエト連邦とドイツが激戦を繰り広げた“スターリングラード攻防戦”を背景に、実在した狙撃兵の対決に線上の青春ドラマを絡めて描いた『スターリングラード(2001)』(日本ヘラルド初公開時配給)
 私がジャンルを問わずに映画を観まくるようになった、ごく最初の頃に鑑賞した作品です。そうか、これが採り上げられるのか……。
 まだ映画を観る目が肥えていない時期だったので、この作品の真価は解ってなかったのかな~、と不安になりましたが、ただ観直しても、決して圧倒的な傑作ではない、という印象は当時と一緒でした。雑魚寝しているなかでの情事とか、ライヴァルの残酷な罠がやたらと印象に残る、というのも一緒。
 とはいえ、やっぱり昔とは違い、新たに読み取れたこともある。それは、当時やや関係が落ち着いていた旧ソ連の、危うさを描きつつも思想的に糾弾するような切り口はあえて避けたバランス感覚の確かさです。このあたり、節度をもって描いたお陰で、若い狙撃兵の葛藤、そして優秀な狙撃兵同士の駆け引き。戦況の変遷を史実に沿って描く、というより、実在した1狙撃兵の名前と立ち位置を借りて、洗浄だからこそのドラマを描くのが狙いだったと読み取れる。その意味では、簡潔にもとめつつも情緒があって、見応えは充分にある。とりわけ終盤は惹き込まれます。
 また、これは初見のときも度肝を抜かれた、容赦のない戦闘描写のクオリティも優秀。廃墟と化したスターリングラード、そこで繰り広げられる、残酷な戦闘。他にも厚みのある戦争映画はいくらでもありますが、本篇も決してその迫力という意味では劣るものではない。
 果たして午前十時の映画祭で採り上げられるほどのものか、という疑問はあったんですが、少なくとも、改めて観ると質的に低い訳でもない。むしろ、映像のクオリティと堅実なドラマ作り、という意味で、こういう映画祭にこそ似つかわしい作品かも。

 鑑賞後は、予定通りに日本ご当地ラーメン総選挙2024にて昼食。この辺はあとで改めてレポートを書きます。そして食事を済ませたら、まだ落ち着かないお腹をなだめつつ帰宅。

TOHOシネマズ新宿、スクリーン12入口前に掲示された『スターリングラード(2001)』上映当時の午前十時の映画祭14案内ポスター。
TOHOシネマズ新宿、スクリーン12入口前に掲示された『スターリングラード(2001)』上映当時の午前十時の映画祭14案内ポスター。

  1. ドイツ側は実在を疑問視する意見もあるらしいけど。[]

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