端島は全国炭鉱の事情に合わせた“部分ストライキ”が始まったが、企業側は一時的に炭鉱を封鎖する“ロックアウト”に打って出て、小競り合いが発生する。このことをきっかけに、炭鉱員と企業のあいだに溝が生じ、端島の大きな絆が揺らぎ始める。2018年では、いづみの家族が玲央のDNA鑑定を行うなか、玲央は自分が瓜二つだという荒木鉄平の痕跡を探し始める。
狭い土地でともに暮らし、密接な共同体を構成していても、結局はそれぞれ別の人間であり、思惑も異なる。まして、実際には端島を所有し運営する企業と、炭鉱員の間では大きく意識が異なり、こういう労働争議では当然、対立は浮き彫りになる。
今回はそういう意味で、鉄平の親友であり、炭鉱長の息子でもある賢将が中心になっている。冷淡な父親よりも、炭鉱員であった鉄平の一家たちと親しかった賢将には、あまりに過酷な状況。あらぬ疑いまでかけられた結果、これまでになく感情が噴き出してくる。
しかし、その結果として、鉄平たち幼馴染みと、リナを巡る状況はやや改善したように映る……リナのほうは、あはれあれでまだまだ波乱を含みそうですが、縺れた関係はやや整理され、次の段階に進みそう。
一方で、次第に起こる事件が深刻になり、端島を巡る状況同様に、新たな波乱は含んでいる。だって、私たちが知っている端島はご存じの通り、《軍艦島》とも呼ばれる廃墟となっており、つまりは“一島一家”も崩れていくのです。鉄平たちはどんな未来を辿っていくのか。
その手がかりとなる現代篇でも、巧みに焦らしてきます。そろそろいづみの正体が判明する、というのはスタッフの発言から解ってましたが、最後の最後で明かされる正体には驚かされました。もともとこの点については意識的に伏線を張ってなかったとはいえ、まさかその目があるとは。そして、その正体を知ってしまうと、ますます過去の物語が気になってくる。いったい何故、いづみは鉄平の記憶を追い求めるのか。そして玲央はいったい何者なのか。巧く引っ張られすぎて、来週がもう楽しみです……ホントに今期、私は毎日ワクワクしてるな。
それにしてもこの作品、出来れば朝ドラみたいに、帯の枠でもっと時間を費やして見せて欲しかったかも。鉄平たち幼馴染みやその周囲に、端島という特殊な環境ならではの要素は凝縮してありますが、それぞれの職場、勤務内容によって、まだまだ色々な見せ方があるのは間違いないし……でもTBSだしねえ……。
『海に眠るダイヤモンド 第5話 一島一家』
TBSテレビ「日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』」
TBSテレビ 日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』の公式サイトです。毎週日曜よる9時放送。主演は神木隆之介。過去から現代に通じる希望を見つけだす、時代を超えたヒューマンラブエンターテインメント。
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