古稀を超えてもプログレDeath!

THE ALFEE『君が生きる意味 【初回限定盤C】』(Amazon.co.jp商品ページにリンク)
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 ……買っちゃった。
 THE ALFEEも聴きはじめてだいぶ長いのですが、タイミングが悪かったり、毎回複数リリースされる初回限定盤を決めかねるうちに機を逸してしまう、なんてことがあって、しばしば買い損ねている。アルバム『三位一体』は未だ、初回盤が出ている期間に買わなかったことを後悔してます……ラジオ番組でほとんど聴けてたから、というのも若干ある。あのときなんか、リリース時点でほとんど聴いてたからねえ……。
 ただ、今回のアルバムはちょっと我慢できなかった。活動50年以上、メンバー全員古稀を超えて、落ち着くどころかまだ進化が窺えるシングルの楽曲群に、先行して公開された新曲が新機軸だったり、大好きなプログレのスタイルで更に過激化したものだったりして、ちゃんとアルバムとして聴かなきゃまたぞろ後悔する、と思ってしまったのです。
 限定盤は熟考の末、購入したのは初回盤Cです。50周年記念ツアーのハイライトとなったNHKホールでの演奏を2枚組で収録した、アルバム本体合わせて3枚組。オーケストラと共演したライブ演奏を収めた初回盤Bと悩んだのですが、ライブの曲目がかなり好みだった初回盤Cにしました。

 のっけから転調、変拍子のしっかり入ったプログレ『月光譚 -Moonlight Rhapsody-』で攻めてきて、『孤独の太陽』にタイトルチューン『君が生きる意味』と、まっすぐすぎるエールの籠められたロックが続くと、SNSのモチーフを鏤めつつ、悪意を切り裂くような『疾風怒濤 -Mind Riot-』が来る、という具合に、THE ALFEEを聴き続けている者には嬉しいTHE ALFEEらしさを重ねてくる。続く『12Fretの躍動』は作詞作曲の高見沢俊彦の目線からロックとの出会いと衝撃、今のスタイルに至るTHE ALFEEが総括された歌詞がいい。
 かと思うと、ここで『丁寧言葉 Death! (album mix)』が来る。“です”が“Death”なことから解るようにデスメタルです。ハーモニーの技術は高いけどさすがにデスヴォイスの使い手はいないので、わざわざDEVILOOFというバンドから招き、パワフルに演奏してます。ユニークな歌詞も相俟って、シングルのカップリングだったときからやたらと人気があって、THE ALFEEのラジオ番組でもやたらとかかっていたイメージですが、アルバム・ミックスとして間奏にギターソロとデスヴォイスが共演してたりして、更に楽しくなってる。
 この辺りからシングル曲が入ってきますが、注目すべきは『Dancing in Heaven』です。曲想としてはこれまでのTHE ALFEE作品の流れに含まれてるんですが、いつになく雰囲気が艶めかしい。メインヴォーカルを担当した坂崎幸之助自ら“新境地”と言うだけのことはある。個人的には、ダンスユニット時代のBE∀T BOYSをよりアダルトにした、みたいなイメージ。さすがにもう、本当に踊りはしないだろうけれど――まだ30代くらいだった当時でさえ、酸素吸入が必要なくらい大変だったらしいし。
 ストレートなロックバラードの新曲『Be Alive』をシングルで先行する『鋼の騎士Q』『Heart of Rainbow (album mix)』を挟み、圧巻のクライマックスまで、唯一無二のTHE ALFEEの世界が更に練り上げられてる。長年のチーフマネージャーまでが“自信作”と言うだけあって、キャリアのその先を想像させる仕上がりでした。

 ……が、続いて特典のライブ演奏音源を聴き始めると、
「THE ALFEEって、やっぱりライブの人たちだな……」
 と痛感します。
『星空のディスタンス』や『SWEAT & TEARS』に『鋼鉄の巨人』『明日なき暴走の果てに』といった定番曲から、最近演奏頻度が高いらしい『悲劇受胎』『GATE OF HEAVEN』など、ライブではお馴染みで音源としても供給が多い曲ばかりですが、明らかに熟れている。深夜ラジオ前だったため、これを書いている時点では全曲聴いておらず、冒頭2曲と個人的に偏愛する『CRASH!』という曲を先に聴いたのですが、いずれも熱量が高い。とりわけ『CRASH!』なんか、オリジナル音源にはない高見沢俊彦のギターソロが噴き上がってます。
 このところ音楽のライブはさだまさしに中島みゆき、このあいだの赤えんぴつを含めても、立たなくていいタイプのものばかり脚を運んでますが、来年は久しぶりにTHE ALFEEも観てこようかな……余裕が出来たら、だけど。既にひとつライブのチケット確保してるし、来年は酒林堂の公演、ふたつありそうな気配だし……。

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