こんな芸人いたっけ……?[レンタルDVD鑑賞日記その949]

心霊曼邪羅29(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 6月11日に、2021年6月リリースの『心霊曼邪羅29』を鑑賞。肝試しとして、心霊スポットと言われる木造の架け橋に赴いた男性二人が撮影した恐怖《木架橋呪厄》、旅先の展示室でくつろいでいた男性二人が思わぬ怪異を撮影してしまう《憑モノの姿》、ネット番組に出演した新人モデルを捉えた奇怪な映像を巡る長篇《凶兆》前後編など、全篇を収録。
 とりあえず、怪異を捉えた部分が全般に解りづらい。肝心の部分をクローズアップするとか、コントラストを調整するなどして、はっきりと確認出来るようにして欲しい。加工がバレるからやらない、という言い訳は通らないぞ。
 で、何とか確認出来たとしても、ぜんぶ似たり寄ったりでいまいち驚きがない。なんでだいたい、変なところに顔が出てくるパターンばっかりなの。映像としては、《木架橋呪厄》の、映りこんだものそれ自体より直前の怪異の方がよっぽど怖い。肝心の映像の方は、この暗がりで撮影されたにしては色味が不自然で説得力がないし。
 そしてこのエピソード、そもそも撮影している人たちの様子も不自然です。真っ暗なところに肝試しに向かう奇妙さは置いておくとしても、“心霊スポット”として訪ねるなら、立地や現象については多少、聞いているはず。なのに「この下に何があるのか」なんて会話を交わしているのはあまりにも変。ここに肝試しに来た、という設定だけ聞いて、その場で深く考えずにアドリブを入れた結果、妙なやり取りになった、と見えてしまう。そもそも、投稿映像を見せたあとに、映像にも登場した人物と現地を訪ねてますが、道中が暗いし足場が悪いし、で肝試しに訪れるとしても環境が悪すぎる。貴方たちはどこから、どのくらいの距離、肝試しとやらをしていたのだ?
 今回も長篇《凶兆》にも、同様の欠点が如実に出てます。
 映像の粗さに何の必然性があるのか、という問題点もありますが、そもそもの“ネット番組”のリアリティが皆無に近い。芸人と称するMCが長年やってるとは思えないくらいテンポが悪く見せ方もド下手、セットや衣裳が、わざわざゲストやアシスタントを入れ換えながらやっているほどの規模にも思えない。Twitterでの投稿も受け付けてます、などと発言しているのだから内容的には恐らく生配信をする前提でのテストなのでしょうが、それにしたってダラダラしているし構成が雑。
 更に、追加取材で判明する、奇妙な振る舞いをしていた新人モデルの経歴や挙措がまた違和感だらけです。いちおう芸能の学校に通っていたわりには喋りがぎこちないし、準備も足りない。調査すると、前に養成所経由で別の事務所に登録していたが、オーディションのための動画資料を撮影したあとに行方をくらました、という。謎なのは、この経緯なら、恐らく別の事務所に改めて所属しよう、とは考えにくいし、所属するとしても、芸名を変えるとか、受け答えがうまく出来るようになる、などの工夫や努力の痕跡があっていいはず。まったく同じようなクオリティで登場するのが本当に意味不明です。なにせ、端緒となる動画と後半に出てくるもう1本の動画、撮影された時期にはだいぶ隔たりがあり、なおかつ一方は撮影用の衣裳だった、と想定されるのに、まったく一緒で飾り気すらない。“新人モデル”という設定はどこに活きてるのだ。
 何より、このふたつの動画を提供した人物が不自然。前者の提供者は、既に自分が離れている事務所に所属していたタレントと、現役で活動している、という設定の芸人が登場する動画を投稿する、という権利意識に乏しいことをしているし、後者の映像に至っては、登場人物であるモデルが飛んだ、とかそういうこと以前に、もっと不自然な出来事が記録している映像に言及していないのはあまりにも不自然。こんな成り行きで消えたら、飛んだ、という話と一緒に触れていていいはずだぞ。映像で出てくるから、話した部分はカットした、と捉えても、少なくとも当人は触れようとするか、何か含みのある喋り方をするはず。
 姉妹篇『心霊盂蘭盆』も同様ですが、このシリーズの演出は内容のリアリティに難がありすぎる。怪異のリアリティや自然さを議論する以前に、状況が違和感ありすぎて白ける、という仕上がりはもうそろそろ勘弁して欲しい。

コメント

タイトルとURLをコピーしました