死と時を超えた、歪んだ愛。

 相変わらずバタバタしていますが、これだけは後回しにしたくない、午前十時の映画祭16の鑑賞に出かけてきました。
 行き先は毎度のごとく、TOHOシネマズシャンテ……本当は久々に錦糸町で観ようかな、と思っていたのですが、先週までだったため、結局ここに来ることになりました。別にイヤではないけどね。
 鑑賞した今コマの作品は、怪奇小説の金字塔をフランシス・フォード・コッポラ監督が映画化、15世紀に自ら呪いを受けて吸血鬼となった伯爵が、ロンドンを襲う『ドラキュラ(1992)』(コロンビア・トライスター映画初公開時配給)
 未だに原作はちゃんと読んでないんですが、このプロットが原作に近いのなら……『ノスフェラトゥ』って、思ってた以上に原作準拠だったのね。
 コッポラ監督版は往年の怪奇ものの表現を意識的に再活用して、技術は90年代の最新のものを導入しつつも、クラシックな趣を生み出している。間の取り方、影のギミックの使い方など、明らかに現代的なのに、佇まいが古色を帯びている。こういうゴシックな雰囲気は大好きなので、映像を観ているだけで痺れます。
 複数の人物の日誌、という体裁で綴られたナレーションを挟み、多視点で物語を編み上げ、様々な怪異が収束してクライマックスに収束していく手際も王道かつ巧み……ただ、映像や表現へのこだわりが強く、それもあえてなのでしょうが、じっくりと1シーンが続くので、テンポがゆったりしており、正直終盤はちょっと眠くなりました。描写が血腥いけど、美術的な美しさが先行しているので、ある意味インパクトが薄れているのが原因かも知れません。ホラー耐性の低い方なら充分に衝撃が強いと思いますが、慣れている人には美しすぎる。
 終盤の怠さを欠点としてつい挙げてしまいますが、恐らくはそこまで含めて、きちんと狙い澄ましてゴシックな王道の怪奇映画を撮っている。コッポラ監督らしいこだわりと美意識で構築された、古典への敬意を籠めたオマージュだと思います。

 鑑賞後は、今回も駅近くの丸亀製麺に立ち寄りました――私としてはラーメンが食べたい心境ではあるのですが、映画館近くの著名なラーメン店はどこも混んでいるし、多少鳴らんでも食べたいお店はどこも微妙に距離がある。移動で時間を使ってしまうので、帰りが遅くなってしまいます。そういうことを考えると、駅の傍ですぐに食べられるここがどーしても安牌なのです。
 ただ、暑いなか歩いてきて、お腹は空いているけど食欲は微妙、という具合になってしまうので、結果、天ぷらはつけず、さっぱりと食べられる釜揚げうどんに毎回行き着いてしまうのは何とかしたい。直前までは、冷やし明太クリームうどんにしようかな、って思っていたはずなのに、揚げ玉入れたい、という考えが頭をよぎった瞬間に、釜揚げに戻ってしまったのよ。
 まあ、軽く食べられるので、入店から帰宅までの時間は短い。この地の利と提供の早さがある限りは、今後もたびたび利用します。

TOHOシネマズシャンテ、階段踊り場の壁面に掲示された、『ドラキュラ(1992)』上映当時の午前十時の映画祭16案内ポスター。
TOHOシネマズシャンテ、階段踊り場の壁面に掲示された、『ドラキュラ(1992)』上映当時の午前十時の映画祭16案内ポスター。

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