母は、父の友人が営んでいる割烹で定期的に皿洗いなどを手伝っている。だいたいお呼びがかかるのは人手が足りないときで、コロナ禍の自粛期間は休んでいたのですが、最近また週2くらいで通っている。
そのお店をふだんから手伝っている店主の娘が、感染の疑いがかかってしまい、出勤できなくなったらしい。お店に濃厚接触者はなく、現時点では疑い止まりなので、閉めることはしないものの、それ故に今夜は人手が足りない。通常はお昼時のみの勤務なのですが、そうした事情で本日は急遽、夜に手伝うことになってしまった。
夕食は自分で何とかしろ、と言われたので、それなら映画もついでに観てくることにしよう、と、もともとは来週の火曜日くらいに実施するつもりだったハシゴのスケジュールを、3日前倒しにして実行することにした。
……このとき、もういちど上映スケジュールを確認しなかったのがまずかった。
19時スタート、20時40分終了の作品を押さえたあと、至近距離にある別劇場で55分から始まる作品を鑑賞する――というスケジュールを考えた。で、購入可能になった昨晩深夜、まずは19時の作品のチケットをネットにて確保。続いて次の劇場のサイトにて、2本目のチケットを押さえようとして――大失敗に気づいた。
土曜日だけ、上映開始が30分早くなってた。
……完全に私の確認ミスです。金・土・日は舞台挨拶などのイベント上映があることで、他の作品の上映時間に影響する場合がある。事実、本日2本目の作品を観る予定だった劇場でもイベント付き上映があったので、その調整で少し前倒しになったのでしょう。
実は、今週優先的に観たかったのは、この2本目の方だった。そのため、営業が始まった頃合いに電話をして1本目をキャンセル、2本目だけ押さえなおすか、とも思ったのですが、映画館の時間割の事情を知ってるにも拘わらず確認しなかったのは明らかに私のミスです。
加えて、1本目に選んだ作品も、別についでだから観る、という種類ではなく、いずれ機会を作って観るつもりでいたのは間違いない。そういうわけで、当初考えていたハシゴは断念し、1本だけに絞ることに。その分、夕食は映画の前後どちらに摂ってもスケジュールの妨げにならないので、時間的な余裕は出来たし。
というわけで、夕方から電車にて新宿へ。このところバイクでばかり来てましたが、ただいま西日本に接近中の台風の影響で、いつ雨が降りだすかも解らない。何となくですが、降りも強くなりそうな予感がしたので、大事を取りました。
とりあえず、五ノ神製作所へ立ち寄り、少々早めの夕食、まだまだ世間には自粛ムードが漂ってますが、そうは言っても週末、それなりに人出はある。お店もだいぶ席が埋まってましたが、幸い座る余裕はあったので今回も並ばず食べられました。
食後、少しだけぶらついて時間を潰し、訪れたのは新宿シネマカリテ。鑑賞したのは、映画というメディアの“縁の下の力持ち”である映画音響について、本職や映画監督らの証言を得て綴ったドキュメンタリー『ようこそ映画音響の世界へ』(Unplugged配給)。
映画が好きな人ならば、意識せずとも感じているはずの映画音響の魅力を、その成り立ちも含めとことん語った作品です。無声映画からトーキーの誕生、そこから如何にして音響が映画に欠かすべからざる“芸術”へと昇華していったのか、を実に解りやすく描いてます。それは同時に、オーソン・ウェルズやアルフレッド・ヒッチコック、フランシス・フォード・コッポラといった革命児がどれほど慧眼だったのか、を改めて証明する物語でもある。こうしたひとびとが音響の重要性に気づいたからこそ、いまの映画はより重層的に発展していったわけだ。
さらっと作り手の苦悩にも触れつつ、裏方であるが故の気楽さも覗かせた締めくくりには、自身も音響スタッフである監督の誇りが窺えます。劇中、凄まじい数のフッテージが引用されてますが、そこで触れられた作品をはしから確認したくなる好篇です。映画愛の塊みたいな作品。
鑑賞後、当初の予定ならば次の劇場に直行しなければ間に合わない。しかし、そもそもお目当ての作品はとっくに上映が始まってしまってる。折角だし、ちょこっと買い物してから帰るか、と折から降り始めた雨に喜々として傘を差し、紀伊国屋書店を目指した――のですが、既に閉まっていた。そういや新型コロナウイルス拡大予防のために閉店を早めてる店舗はまだ多いのだった……。
ほかに立ち寄るところも思い浮かばないので、大人しく駅に引き返し、そのまんま帰途に就きました。どのみち、ホントはきょうハシゴするつもりだった作品を観るため、1週間以内にもういちど足を運ぶ必要があるので、そのときにまた来てみます……。
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[…] 原題:“Making Waves : The Art of Cinematic Sound” / 監督:ミッジ・コスティン / 脚本:ボベット・バスター / […]