実のところ現在、積極的に観たい映画が少ないのです。気にはなるけれどいまいち足を運ぶところまで気乗りがしない、という作品ばかりなので、元日よりあと、作業にかこつけて映画鑑賞を控えてました。
しかし、いよいよ「映画を観たい」衝動のほうが募ってきてしまった。昨年の非常事態宣言中に悟ったのですが、この欲求は自宅にて、配信や映像ソフトで鑑賞しても充分には発散できない。ちゃんとした設備で、本篇の尺のあいだ席を立つことなく集中して観られる状況でないと駄目らしい。というわけで、上映中の作品の中から、ずっと気になっていた1本を選んでお出かけ。
本日の劇場はヒューマントラストシネマ有楽町。上映開始は11時5分ですが、最安値の駐車場が埋まっていて、移動しなければならない場合を考え、だいぶ早めにバイクで出かけたのですが、幸いに空きがあったお陰で、だいぶ早く着いてしまった。早すぎて、劇場のシャッターすら上がってませんでした。
鑑賞したのは、アリ・アスターやアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥらも敬愛するスウェーデンの名匠ロイ・アンダーソン監督最新作、様々な絶望や希望をコラージュした映像詩『ホモ・サピエンスの涙』(Bitters End配給)。
前作『さよなら、人類』の異様なヴィジョンが記憶に残っていたので鑑賞してみた。……解っちゃいたけど、正直眠くなります。明快なストーリーを紡ぐ監督ではなく、すべて計算された画面の中で繰り広げられるやり取りを、パッチワークのように継ぎ合わせることでイメージを喚起する手法を取っている。しかもひとつひとつのシーンが物静かなので、どーしても眠気を誘う。
ただ、やはりその唯一無二のヴィジョンや、どこにでもありそうな何気ないやり取りから滲む詩情は逸品。前作終盤に登場するような衝撃的なひと幕こそないものの、不思議と印象的。間接的に描かれる破滅や死に絶望が覗く一方で、そこに美しさを織り込む表現自体に希望が宿る。眠くなるのも事実なんですが、とても観ていて心地のいい作品です。
鑑賞後はしばらく悩んだあとで、晴海通りのガード下にある慶屋というお店で昼食。食べログのうどん百名店にも選ばれたお店です。昨年末にいちどテイクアウトで食べてみて、そのときは麺がだいぶスープを吸ってしまったのですが、それでも私の理想に近い美味しさだったので、今回は店舗にて、最善の状態で食べてみることにしました――しばらく悩んだのは、あまにも寒かったから。
店頭で食べてもやっぱり美味しかった。決して量が多いわけでも具だくさんでもないけれど、カレーらしいパンチが効きつつ口当たりのいいスープと、細めだけど適度な弾力ととろみのある麺がしっかり満足感をもたらしてくれる。店頭で食べる場合はライスもサーヴィスで提供されるので、麺を食べ終わったあとに投入すると、出汁の風味のあるカレーライスとして最後まで楽しめる。
なにせ、暖簾しか塞ぐもののない店構えなので、寒いっちゃ寒いのですが、カレーうどんの温かさとスパイスもあってか、それほど寒さは気にならなかった。この付近で、ワンコインちょっとで頼めるリーズナブルさもありがたいですし、今後も利用します。
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[…] 原題:“Om Det Oandliga” / 英題:“About Endlessness” / 監督&脚本:ロイ・アンダーソン / […]