きょう観る映画は、母も観たがっていた作品です。なので平日を使わず、ほぼ確実に母の予定が空いている土曜日を選択。
映画館はTOHOシネマズ日本橋。いつもなら神田駅からえっちらおっちら歩いて行きますが、きょうは行きについては地下鉄も利用します……だって、家出た時点でApple Watchの気温表示が30度超えてたし。
鑑賞したのは、是枝裕和監督が韓国のスタッフ・キャストとともに撮影した最新作、いわゆる《赤ちゃんポスト》に捨てられた子供を売り捌くべく、旅を共にする人びとの姿を描いた『ベイビー・ブローカー(字幕・TCX)』(GAGA配給)。
舞台やキャストが韓国でも、ちゃんと是枝作品です。犯罪と疑似家族、というテーマは『万引き家族』とも通底しているし、音楽を最小限に、ドキュメンタリー的で情感を籠めた間を用いる描写もいつも通り。監督のポリシーが一貫していると、製作国が変わっても作風はちゃんと保たれるわけです。
そして内容も、相変わらず秀逸。日本よりも数の多い《赤ちゃんポスト》に子供を捨てる者と捨てられた者、更に何らかの事情で子供という存在から引き離される者の想いの交錯から、繊細なドラマを紡いでいる。
題材が赤ちゃん、ということもあってか、テーマが命の重さとその扱いになっていて、教官がしやすいこと、そしてメインの登場人物が基本的に善良であることが、展開の重さ、スリリングさには意外なほどの清々しい終幕を作り出している。
決して個性の強いキャラクターではないのに、あいかわらずの顔面力と奥行きのある演技で充分すぎる存在感を示すソン・ガンホはもちろん、結果的に旅を共にするメンバーを演じた役者それぞれに印象的な見せ場があって、映画としての見応えも豊か。『万引き家族』ほどの衝撃はありませんが、味わい深い傑作。
鑑賞後、観測史上最速の猛暑日を記録した炎天下を歩いて日本橋ふくしま館 MIDETTEへ。母に、ここのイートインでラーメンを食べてもらいたかった――のですが、しかし今日はラーメンではない。
ふくしま館のイートインには福島県内の名店が入れ替わりで出店してますが、ときどき湖南高等学校がやって来る。ここには《そば部》なるものがあって、そこの生徒がふくしま館にて打ったそばをイートインで提供しているのです。これまでタイミングが合わず食べたことがなかったので、母とともに訪ねてみた。混んでいたらやめるつもりでしたが、席に空きがあったのでそのまんま入店。
メニューは1点、ぶっかけそばのみ。冷たいつゆに浸ったそばと、具材は揚げ玉にネギ、そして大根おろしのみ、と至ってシンプル。付け合わせにキュウリの漬物、それからセルフサーヴィスで貰えるかりんとうもひとついただきました。
決して特殊な工夫を施している訳ではない、けれどしっかり美味しい。大根おろしもあるのでさっぱりと食べられます。あと、漬物の存在感が思っていた以上に大きい。シンプルなので、ボリュームは控えめながらもさすがに飽きがきそうになるのですが、漬物の甘辛い味がちょうどいいアクセントを添えてくれる。かりんとうは……そもそもかりんとうなのかもよく解らない。固くて味も素っ気ないけれど、お茶にはとても合うので、デザートとしてちょうど良かったんですが。
なにせ先方は学生なので、長期的な休みや土日にときどき出店するくらいらしく、日本橋界隈に来るのは平日のみ、の私が遭遇するのはちょっと稀ではある。けれどタイミングが合ったらまた食べたい。
食事のあと、ちょこっとお買い物をして帰宅……この殺人的な陽射しの下で延々とウロウロは出来ません。
日本橋ふくしま館 MIDETTEのイートインにて提供された、湖南高等学校そば部によるぶっかけそば、とおまけのかりんとう……って言ってたよね?
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