午前十時の映画祭13、ラインナップ発表。

午前十時の映画祭14 デジタルで甦る永遠の名作
午前十時の映画祭14 デジタルで甦る永遠の名作

 ……今年も『セブン』は入ってねえ。

 ただ、その代わり、ず~っと「そろそろこれは入れてくれぇぇ」と内心訴え続けていた作品が複数含まれていたので、けっこう嬉しかったりする。
 まずはビクトル・エリセ監督の『ミツバチのささやき』、そしてガブリエル・アクセル監督『バベットの晩餐会』。
 前者は実はいちど、この映画祭のラインナップに加わっている。記録を調べると恐らく第2回にいちどリストアップされてますが、当時は最新のプリントで上映するのが売りだったのに、よりによってプリントが間に合わない、という理由で急遽差し替えになった、と記憶している。その後、どうやら無事にデジタルマスターが制作されたようで、日本でも既に限定的ながらリヴァイヴァル公開されている。たぶんそろそろ来るのではないか、と思ってましたが案の定でした。
 一方の後者、こちらはまだナンバリングすらされてなかった第1回で既に採り上げられている。ただこのとき、私はまだコンプリートするほどどっぷりとこの映画祭に付き合うつもりはなかったので、気にも留めていなかったのです。翌年あたりから本腰を入れるようになったものの、それ以来いちども再度ラインナップに加わっていない――この映画祭、2年目は初年度の作品をもういちど巡回させる一方で新しい作品も上映する、というスタイルで実施していたのですが、『バベットの晩餐会』と『2001年宇宙の旅』の2作品は権利の都合により2年目の巡回か外れてしまった。『2001年宇宙の旅』についてはその後なんどか映画祭で採り上げましたが、『バベットの晩餐会』についてはそれっきりだったのです。『ミツバチのささやき』と同様、近年になってデジタルマスターでのリヴァイヴァルが実施されていたので、これもたぶんいずれ映画祭でかかるだろう、と信じて待ってました。
 しかし、個人的に何よりも嬉しいのは、『リバー・ランズ・スルー・イット』の採用です。ロバート・レッドフォード監督が、フライフィッシングを題材に、アメリカの家族の姿を暖かな眼差しで描きだした、あまりにも美しい名作。配給会社が当時、父の仕事で関係のあった東宝東和だった、という理由から劇場で鑑賞していて、ストーリーはそんなに覚えていなかったのに、鮮やかすぎるフライフィッシングのシーンはずっと記憶に残っていたのです。のちにブルーレイがリリースされた際に購入し、鑑賞眼がついた状態で観て、改めてドラマとしても素晴らしい、と認識した一方、やっぱりこれは映画館で観るべき作品だ、とも痛感しました。いま観ると瑞々しすぎるブラッド・ピットも拝める、という点でも貴重。『セブン』が入らなかったのは恨めしい、けれどこれを採り上げてくれたなら許そう(何様)。

 もちろん、それ以外にも楽しみな作品はたくさんあります。映画祭のスタートダッシュを飾るのは《ジュラシック・パーク》3部作、お馴染みのオードリー『マイ・フェア・レディ』を挟んで、日本映画からは遂に伊丹十三監督の『お葬式』『マルサの女』が採用となった。円谷英二vs.レイ・ハリーハウゼンという特撮の神の対決なんてブロックがあるかと思えば、オカルト映画の金字塔『エクソシスト』が初めて加わり、最後のコマにはトルナトーレ監督×モリコーネ音楽の黄金コンビによる傑作『海の上のピアニスト』がある。
 たとえ望み通りのラインナップになろうがなるまいが、2023年度もコンプリートするつもりではいましたが、今回も胸躍らせるようなチョイスなので、最後までモチベーションを切らさず追うことが出来そうです。っていうか、大スクリーンで観たかった『リバー・ランズ・スルー・イット』と、もういっかい観たかった『海の上のピアニスト』を終盤に持ってきてるあたりが個人的に実に憎い……別に私を狙ってスケジュール組んでるわけじゃないけどね。

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