……これ、先週観たよね?

 序盤ぼーっとしすぎたので、もうギアを上げていかねばならない、と思いつつも、やっぱし映画は観たい。本日も朝からお出かけです。
 本日の行き先は毎度お馴染みのTOHOシネマズ日本橋。鑑賞したのは、午前十時の映画祭14上映作品、ともに配偶者のいる男女の愛を情緒豊かに描き出したウォン・カーウァイ監督代表作『花様年華』(松竹初公開時配給)
 ……はいそうです、先週観ました。なんで観直したかって、どう考えても先週、意識の飛んでる時間が思ってたより多くて、感想を書くことも出来なかったからです。家で観ることも考えましたが、配信しているサービスは契約している範囲内ではなさそうだし、レンタルはいつ届くか解らない。基本的に私は障害者割引で観てますので、たまには多めに払うのもいいだろう、と思って、もう1回行ってきました。来週以降は錦糸町オリナスや新宿でかかるので、そっちまで持ち越すことも考えましたが、あんまり間隔も開けたくなかったし。
 結果、判明したのは……先週、わたし頑張ってた。思ってた以上に、観ていることは観ていて、覚えのないシーンはなかった。ただ、意識が切れ切れになっていたせいで、繊細な描写を都度都度汲み取ることが出来ず、あとで整理できなくなっていた模様。
 で、ちゃんと表現を解釈し吟味しながら鑑賞したら、改めていい映画でした。倫ならぬ愛の物語とは言い条、その意識も表現もひたすらプラトニック。お互いの配偶者同士が不倫関係に陥っている可能性に気づいて距離が近くなり、当てつけのように関係を持ちかけるけれど、踏み切れない。
 友人と呼ぶには親密すぎる関係性、しかし一方で社会的な体面や、本来の配偶者を裏切ることが出来ない理性も働いている。しかしそれでも隠せない、惹かれ合う想いが滲み出す描写が切ない。そしてそれを、肝心の配偶者をほとんど映さなかったり、覗き見するような独特なアングルで、基本的にはメインのふたりを捉え続けるカメラワークが、より絶妙に表現してます。基本、肌を露出したり、あからさまな性描写なんかしてないんですが、それ艶めかしさに代わるように、雨のシーンや屋内の映像を多用してウェットな雰囲気を醸し、身体の線を露わにしているのに節度のあるチャイナドレスを用いているのも巧みです。
 ……ただ、観直してみて、「やっぱり寝不足で観ていいタイプの作品じゃなかった」と実感。シーンひとつひとつが、前後の描写との繋がりを考えて読み解いていくような作りになっている。実際のところ、先週も完全に寝入った時間はなかった、と確信できたのですが、あんなにもまとまった印象がなくなったのは、その都度都度で解釈する思考力がなかったから、映像の繋がりを捉えられなくなってしまっていたからのようです。早めに再鑑賞したのは、そのことを確かめる上では正解でした。
 何にせよ、成熟した大人の節度があればこそ、まるで純情の極みに至ったような甘酸っぱく苦い余韻を生み出した、上質の恋愛映画でした……みなさんはちゃんと睡眠取ってから観てね。

 鑑賞のあとは、映画館そばのローソンで後日参加予定のイベントのチケットを発券して、それから例によって例の如く日本橋ふくしま館へ赴いて早めの昼食。済ませたら、さっさと帰宅。

TOHOシネマズ日本橋、スクリーン9入口脇に掲示された『花様年華』の紹介文。
TOHOシネマズ日本橋、スクリーン9入口脇に掲示された『花様年華』の紹介文。

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