ガス抜きにはスカッとする映画を。

 色々あって、まだ根を詰めねばならない……んですが、あんまし何もかも制限しているとだんだん鬱々としてくる。もともと今日はその気分転換も兼ねて、昼食は出かけるつもりでしたが、ついでに映画も観てくることにしました。
 このところなかなか映画館に足を運べないせいで、観たい作品はいっぱいある。とりあえず、午前十時の映画祭14が最優先なのですが、そこにも迷う理由がひとつあって、前日深夜、つまりは当日になるまで悩んでました。
 ようやくチケットを押さえたのは、TOHOシネマズ日本橋……まだ新宿でラーメンイベントは続いてますが、日本橋ふくしま館のイートインに来ているお店が、前に食べてけっこう美味しかった坂新で、こっちの方がイベント出店のお目当てより期間が短く、悩んだ末にこっちを選んだのです。
 鑑賞した作品は、『カメラを止めるな!』の上田慎一郎監督最新作、悪辣な手段で税を免れる資産家から取り立てるため、事なかれ主義の税務署員が詐欺師と手を組むコン・ゲームアングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』(NAKACHIKA PICTURES×JR西日本コミュニケーションズ配給)
 ……スカッとしたい、という気分のときには最高の選択肢でした。これはいい、実にいい。
 冒頭は完全に、やる気のない税務署員だった主人公が、幾つかの出来事を経て危険な賭けに出る。序盤、どんどんと現れるヤバそうな人々に圧倒され、自らも担ぎ出された芝居の危うさでスリルと笑いを演出しつつ、罠を仕掛けていく。『カメラを止めるな!』にもあった、過程の表現の巧さが活きてる。
 素晴らしいのはキャラクターの完成度です。その善良さ、事なかれ主義にも理由のある主人公が奮起する理由はもちろん、ほとんどのキャラクターにしっかりとした個性があって、物語に貢献している。
 このところ公私ともに順調っぽい岡田将生の外連味と深みがうまくマッチした詐欺師役もいいけれど、やはり本篇の良さは内野聖陽演じる税務署員の負うところが大きい。職場での侮られっぷり、家庭のなかでの、愛されてるけど微妙に地位が低い感じが、奮起してからの面白さを加速させてる。頼りなさが最後には格好良く見えてしまうところまで絶品です。
 監督自身、そういうのに憧れていたようで、『スティング』などのコン・ゲーム映画への目配せが、やもすると二番煎じになりかねないところを、巧い肉付けで個性を生み出してる。そして、往年の傑作にも劣らない爽快感に結実するアイディアと、小澤征悦の悪役ぶりが素晴らしい。
 企画から公開までだいぶ手こずったらしいですが、奮闘した甲斐のあった傑作だと思います。

 鑑賞後は予定通り、日本橋ふくしま館にて食事。
 初めてここで食べた坂新のメニューは肉そばだったので、今回はあぶラーメンを選択。喜多方ラーメンの特徴である中太縮れ麺で二郎系に寄せたような作り。イメージよりはさっぱりしていますが、それでも私にはちょっとクドかったかも。次はネギラーメンあたりにするか。

TOHOシネマズ日本橋、スクリーン1脇に展示された『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』チラシ。
TOHOシネマズ日本橋、スクリーン1脇に展示された『アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師』チラシ。

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