普通である、という痛み。

 本日は2カ月に一度のお楽しみ、爆笑問題withタイタンシネマライブの日です。当日の上映時間が発表されるなり、あれこれと考えて、ハシゴのスケジュールを組み、チケットを確保。
 午前中に透析用医材の搬入という体力仕事をこなし、昼食後に仮眠。寒さで布団から出たくない衝動にどーにか抗い、身支度をして外出。この合間にひとつ、嬉しいことがあったので、ちょっと気合が入りました。
 電車にて向かったのは日比谷のTOHOシネマズシャンテ。到着し、エレベーターに乗って驚いた――エレベーター、むちゃくちゃ綺麗になってる。先日、改装のため一時閉館していた1のは覚えていたけれど、ここまで様変わりしていると思わなかった。でもよく考えると、改装前のエレベーターは階数のところにあるパネルが異様に暗く、階数は解っても、そこが何番スクリーンか、何がかかっているのかが見えにくかった。内装が綺麗になったこと以上に、スクリーンと階数がくっきり見えることのほうが嬉しい。
 ともあれ、まずはついでの1本です。間もなく発表のアカデミー賞脚本賞&助演男優賞候補作でありジェシー・アイゼンバーグ長篇監督第2作、ユダヤ系の従兄弟二人が、祖母の郷里であるポーランドで歴史を辿りながらお互いの心の傷に触れるリアル・ペイン ~心の旅~』(Walt Disney Japan配給)
 ぶっちゃけ、気になっていた作品ではありましたが優先順位はそこそこでした。きょう選んだのはひとえに尺が短く、かつスケジュールにうまく嵌まったからに過ぎない。
 しかし実にいい映画でした。従兄弟二人がポーランドのユダヤ系ゆかりの地を巡るツアーに参加する、というそれだけの話なんですが、人物描写が繊細で、メインふたりの過去や今の想いが滲み出してくる感じがいい。ベンジーの危うげだけど奇妙に他人を惹き付けずにやまない人柄が、善良で真っ当に生きているデイヴのコンプレックスを刺激する。終始振り回されているデイヴが心情を漏らすシーンは、なまじベンジーの変人ぶりを延々見せられたあとだから、かなり沁みてきます。
 一方のベンジーだって、気楽に生きている訳ではない。傍若無人に見えて観察力には優れ、本質は繊細であればこそ深い傷を負い、ツアー終盤の“あの場所”からの帰りに慟哭する。普通になれない彼だってもちろん苦しい、それがより過酷な時代を生きた先祖たちの史跡が刺激する。
 現代を生きるユダヤ系の人々にとってのリアルな感覚に触れる心地のする、豊かで優しいドラマでした。アカデミー賞で栄誉に輝くかはともかく、間違いなくいい映画。

 鑑賞後は近くのお店で早めの夕食。新規開拓のつもりで、気になってたけど入らずにいた店を訪れてみました――美味しかったけど、次はいつになるか解りません。だって、一人客が夜にするっと入れるような客席の構造ではない。今日、食べられたのは、ちょうど予約の隙間で、私が1点だけしか頼むつもりがないことを予め示していたからだと思う。美味しいのは間違いないけど、こーいう機会に利用するお店は別に開拓したほうが良さそう。
 食事を済ませたら、今度はTOHOシネマズ日比谷に向かい、本日の本題です。ここからは項目を分けて、明日アップします。

TOHOシネマズシャンテが入っているビル外壁にあしらわれた『リアル・ペイン ~心の旅~』キーヴィジュアル。
TOHOシネマズシャンテが入っているビル外壁にあしらわれた『リアル・ペイン ~心の旅~』キーヴィジュアル。

  1. TOHOシネマズシャンテはスクリーンへの移動がエレベーターでしか出来ないので、エレベーターが使えなければ休館になる。当然。[]

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