なんだかすご~く久しぶりの感のある映画鑑賞です……旅行のあと、作業の停滞と体調不良により身動き出来なかったので、ご無沙汰になってしまったのです。
電車に揺られてやって来たのは、TOHOシネマズ日本橋。仕切り直しに鑑賞するのは例によって午前十時の映画祭14上映作品、1962年のアメリカ西部、プロムの夜に若者たちがそれぞれに経験する出来事を描いた青春ドラマ『アメリカン・グラフィティ』(CIC初公開時配給)。
かのジョージ・ルーカス監督が、デビュー作の不振により低予算で撮ることを余儀なくされたのに、結果として大ヒットして、その後の《スターウォーズ》に繋がっていった、という伝説の作品。のちにアカデミー賞監督となるロン・ハワードが俳優として出演している、という点でもちょっと貴重かも知れない。
全体を通して大きな謎や物語がある訳でもなく、無軌道で目的意識のない、ごく普通の若者たちがこの時代に経験しうるドラマをちりばめただけ、と言えるのですが、不思議と惹き付けられる。
如何にもアメリカの青春、というイメージを詰め込んでいる一方で、ここに出てくる彼らは決して満足してないし、自分たちの人生が理想通りだとも思っていない。その煩悶が、一見奔放に見える言動から透き見えるから、他人事のように感じない。ヴェトナム戦争前夜の不穏さを孕んだ時代の空気を描きながら、それでも本篇が普遍的に映るのはないそういう感情の揺らぎをしっかり拾っているからでしょう。
んで、そういう観点に立つと、やはり興味深いのはウルフマン・ジャックという人物です。詳述は省きますが、社会というものの複雑な顔を象徴した、巧みな趣向だと思う。これが実在する人物で、当時のエピソードを下敷きにしている、というのが更に趣深い。
ジョージ・ルーカスを《スターウォーズ》だけの人だと思っている人はいっかい観てみるべきではなかろうか……イメージが変わったところで、《スターウォーズ》が代表作であることも、その後の大作映画の流れを変えた人である、という評価もそのまんまではあるけどね。
これで、午前十時の映画祭14も残すところあと1本でコンプリート。最近は作業が立て込んでくると映画を観に行くのが難しいので、もしかしたら今週中に押さえに行くかも知れませぬ。
鑑賞後は例によって日本橋ふくしま館に赴いて昼食。きょう出店しているのは創作麺 やま鳶。いつも違ったメニューを持ってきているイメージでしたが、きょうはどうやら基本メニューであるらしいらぁ麺と味噌らぁ麺、というシンプルな顔ぶれ。そういえば、ここの普通のらぁ麺はいただいたことがないかも。独特のコクがある醤油ラーメンですが、レンコンにおろし生姜を載せ、自分で味わいを調整できるのがユニーク。サッパリといただけます。
TOHOシネマズ日本橋、スクリーン3入口脇に掲示された『アメリカン・グラフィティ』午前十時の映画祭14上映当時の紹介記事。
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