物語はまだ、変わってなかった。

 今年最後の、午前十時の映画祭15を鑑賞しに行ってきました。
 上映開始が10時25分と、最近では遅めの時間なので、ゆっくり出かけ――はせず、あえて早めに出発。いつもとは違う駅で降りて、TOHOシネマズシャンテに向かいました。このあいだ、 観に来たときに、時間の都合で見送った『WEAPONS/ウェポンズ』のパンフレットを購入してから、歩いてTOHOシネマズ日本橋を目指しました。のんびり歩いても30分そこらで着くので、軽い運動だと思えばちょうどいい。
 鑑賞した今コマの作品は、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の代表作、シチリアの小さな町を舞台に、映画を愛した少年と映写技師の交流をユーモアと溢れる詩情で描いた名作ニュー・シネマ・パラダイス』(日本ヘラルド初公開時配給)
 この映画、観れば観るほど魅せられていて、ときどき無性に観たくなります。午前十時の映画祭ではわりあいよくかかるので、適度に渇が癒されて助かる。あのラスト数分間が堪らなくいいのです。
 しかし今回語りたいのは、映画そのものではない。幼い頃のトトを演じたサルヴァトーレ・カシオのことです。
 この作品が全世界的にヒットしたことで一躍人気者になりながらも、その後は同じトルナトーレ監督の『みんな元気』など消臭の作品に出演したのみで、フェイドアウトしてしまった。子役で成功してもそのあとが続かない、というのは珍しい話ではなく、あの子――と言っても私と幾つも違わないんだけど――も同様だったか、と諸行無常を感じていたのですが、事情は違ったらしい。
 その詳細が、先日の読売新聞で綴られていて、初めて知りました。どうやら3年前に、『ニュー・シネマ・パラダイス』と、そこで背負ってしまった“トト”という重石に苦しめられた30年以上を綴った自伝を発表、これをきっかけに俳優活動も徐々に再開しているそうですが、そこまでの経緯がもう充分にドラマ、しかも捉えようによっては“外側のニュー・シネマ・パラダイス”みたいな展開で、運命すら感じてしまう。
 詳しいことは、下記のリンクをお読みください。これをアップする時点では制限なく読めるようになってますが、ここは一部記事を購読者のみに開放しているため、後日制約がかかるかも知れませんのでお早めに。読んだあとで映画を観ると、余計に沁みます。
 ここで言及されているサルヴァトーレ・カシオの自伝、読んでみたいのですが、現時点では日本版は出ていません。どこかの出版社が採り上げてくれんだろうか。この記事を執筆したのは読売のローマ支局員のようなので、自身で訳して読売新聞社でリリースとか……駄目?

ニュー・シネマ・パラダイス「トト少年」熱演の陰で抱えた不安、眼鏡をかけても台本の字が読めない…13年引きこもりも
【読売新聞】 くりくりの目をした愛くるしい面立ちに、抜群の演技力。イタリアに住む一人の少年が世界をとりこにした。 日本では1989年12月に公開された映画「ニュー・シネマ・パラダイス」。終戦直後のシチリア島にある小さな映画館を舞台に

 鑑賞後は今回も日本橋ふくしま館へ。目当てはもちろん老麺まるやです……そもそも今日を選んだのは、まるやが昨日から明日まで3日間来ているからだったり。水曜は用事があるし、金曜は今年最後の週末で封切り作品もあるため、たぶんいちばん落ち着いて楽しめる、と睨んだのです。映画もラーメンもね。
 映画については狙い通りと言えますが、まるやの方は違いました。もうお昼時も終わり近いのに、ちゃんと並んでた。やっぱりこのお店、ファンが多いらしい。
 近頃はお土産も並んでないことが多かったのですが、今日は並んでいた――4箱だけ。一瞬、思案してから、いちど着いた列を外れて、先にお土産を購入。正月中、昼食に困るときもままあるので、若干の罪悪感を覚えつつも2箱取りました。その間にも、空席待ちの人数は増えてましたが、並んでいるあいだにお土産は無くなっていたので、判断は正しかった、と思う。
 お昼休みも終わりの近い時間だったので、いつもならチャーシューメンは品切れになっているのが普通ですが、今日はちゃんと残っていたのでそちらをチョイス。普段は数を絞ってるんですが、年末なので、出来るだけ提供する方針に変えたのかも。
 お土産は確保したし、諦めていたチャーシューメンも思いがけず食べられたので、結果としては大満足。いちおう、年内に最低でもあともういっかいは映画鑑賞に出かけるつもりですが、これが映画納めになってもいい――久しぶりに鑑賞した数がだいぶ少なくなってしまいましたが、今年は仕方ない。

TOHOシネマズ日本橋、通路に掲示された『ニュー・シネマ・パラダイス』上映時の午前十時の映画祭15案内ポスター。
TOHOシネマズ日本橋、通路に掲示された『ニュー・シネマ・パラダイス』上映時の午前十時の映画祭15案内ポスター。

コメント

タイトルとURLをコピーしました