誠実な人も、悪質な人もいる。

 最近、また映像業界の人々の、現場での礼を欠いた言動がしばしば取り沙汰されてます。某バイク旅ロケで人が集まりすぎて騒ぎになったとか、街中での追いかけっこロケで出入口を塞いで平然としていたとか、某ミステリドラマの撮影で公園を使う際、遊具を使っていた子供を横柄に追い出したとか。
 それで、もう、だいぶ前の話を、ちょっと書いてみたくなりました。

 私の家のチャイムを慣らす人がいた。インターフォンに出てみると、映像制作会社の方。
 ある映画のロケハンをしていて、うちのご近所のお庭が理想に合っているので、撮影に使わせてもらえないか、交渉がしたい、ということでした。
 この日は家には私ひとり、くだんのお宅は普段、日中はあまりおらず、私自身は交流はない。ただ、基本的に顔の広い母は、多少なりとも交流があって、在宅の時間をなんとなく把握している。それで、大まかな時間を伝えて、出直すように言ってあげた。
 ……いま冷静に考えると若干リスキーでもある。しかし、きちんと所属も身許も告げたので、こっちとしてはある程度、信用して話をした。
 その判断は間違っていなかったようで、後日ふたたびその人がチャイムを鳴らした。しかし、その日も問題のお宅は留守。幸い、このときは母がいたので、名刺や撮影趣旨などを書き添えて、先方のポストに入れておいてはどうだろう、と提案した。
 その後、無事にご近所のかたと会えたらしい。母経由で聞いたところによれば、きちんとした内容だったため、撮影を承諾したとの話。

 この撮影が、実に鮮やかだった。
 撮影日は問題の家のみならず、我が家を含む近所にもちゃんと予告していた。撮影時間は短いので、速やかに切り上げるという話でした。
 実際、ちゃんと挨拶にも来たのですが、あっという間に終わったらしい。終了時に報告のためふたたびチャイムを鳴らしてくれましたが、何なら、いつやって来たのかも解らなかった。
 この作品、のちにきちんと鑑賞したのですが、ご近所のお宅は本当に僅かな時間、たぶんワンカット、他にあったとしても数カット程度しか使われていない。
 しかし、スタッフの態度は実に誠実だったらしい。近所にもひととおり挨拶に来たのはもちろん、撮影の必要もあったのでしょうが、なかなか手を入れられず少々荒れていた庭を、綺麗にして帰ってくれたそうです。

 つまり、たとえ映像業界であっても、たぶん人はそれぞれなのです。
 ……実際、更にもっと前、ある用件で父を取材した某テレビ番組のスタッフは、趣旨をきちんと伝えなかったばかりか、撮影許可も取ってない自宅正面からの映像を放送で使った。当時でも我が家は激昂してましたが、もし今やったら大問題だぞ。
 そんな信用できない輩もいれば、きちんと礼を尽くしていく人もいる。そんなもんです。

 余談ですが、母が週に何度か仕事で訪ねている某施設はコロナ禍前、しばしばドラマ撮影の休憩所に使われていたそうで、何人か芸能人に会ったそうな。船越英一郎はとてもいい人だったそうな。

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