かつて端島を舞台に映画を撮影したスタッフが再訪、新たな映画を撮ると言い、島民から出演者を集めるべくオーディションを実施した。食堂の娘・朝子も公開オーディションに参加したところ、意外な好評を博してしまう。
鉄平たち、特殊な島で生きる若者としての、端島発展のための努力と並行して、今回は負の側面も描いている。島全体が企業の持ち物であるため、住民としていちばん地位が高いのは企業から出向してきた者、その下に炭鉱員とその家族たちがいて、食堂や売店など、炭鉱員相手に商売をする人々の地位は低い。さらっと示される格差、差別意識がちょっとエグい。実際、こんな感じであった可能性は高いんですが。
突然の好機に、島民の多くが夢を見るような状況で、過去篇の朝子という人物の境遇、秘められた想いに光を当てる、巧みな作りになってます。現代でも、固定された自分の役割以外のものとして見てもらえない、という悩みはありがちですが、分担が明確すぎる端島ではなおさらだったでしょう。この作品、ほんとに人物の配置が巧い。
他方で、この狭い島における犯罪、というのも描いているのが面白い。島民みんな家族、みたいな状況ですから、普段は警察官の仕事などないけれど、いったん疑惑が浮上すると陰湿な事態になる。本篇での出来事は、驚異的な人口密集率である端島らしい展開で決着しますし、そこに面白みもありますが、たぶん現実はもっと大騒ぎになったのではなかろうか。
2018年パートも、この端島の状況と重なりつつ、新たな動きを見せてます。過去パートの端島とは異なる類いの閉塞感に覆われた人々、相変わらず過去との繋がりが判然としないいづみに翻弄される玲央。そしてラストにはだいぶ不穏な物言い。
来週は、第1話からもつれる気配の濃厚だった、朝子と百合子という幼馴染みの感情的な対立が表面化して、閉鎖的な世界での青春ドラマが加速していく気配。一方で2018年パートでも、いづみがかなり派手なことをしそうな気配で、また興味が惹かれます。何となくですが、いづみの事業の内容も、過去とまったく無縁ではなさそうな気がしているので、ず~っと謎だった過去パートと現代パートの繋がりが見えはじめてくるのではなかろうか。相変わらずさだまさしの出番はないけど、構わず楽しんでおります。
『海に眠るダイヤモンド 第3話 孤島の花』
TBSテレビ「日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』」
TBSテレビ 日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』の公式サイトです。毎週日曜よる9時放送。主演は神木隆之介。過去から現代に通じる希望を見つけだす、時代を超えたヒューマンラブエンターテインメント。
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