『問題物件』の終盤と相前後してBSで放送されていた『遺留捜査 Season 6』の再放送をきっかけに、TELASAで『遺留捜査』をSeason 1』から時系列順に鑑賞しはじめて、早くもSeason 3まで終了しました。
TELASAに限ったことではありませんが、こういう配信サービスは、複数のシーズンはまとめてあっても、合間に挟まるスペシャルは別枠でまとめている傾向にある。私みたいに、時系列で鑑賞したい人間には少々面倒です。幸い、『遺留捜査』はスペシャルは10篇、うち4作目までがSeason 3からSeason 4までの間に、5作目から10作目まではSeason 5からSeason 6までの間に収まっている。だから、Season 3まで観たら、4作目までスペシャルを続けて観て、そこから通常シリーズに戻ればいいので、まだ解りやすい。『孤独のグルメ』なんか、シーズンの合間にスペシャルが挟まってたりするので実に面倒でしたから。
それにしてもこの『遺留警察』はとても面白い。ひたすら遺留品の素性に拘り、組織としての方針に束縛されず動き回る主人公・糸村刑事が、被害者や関係者の真意を紐解き、誰かの心の蟠りを解いてしまう。糸村は大抵、遺留品の謎が解ければいいのですが、その身勝手な捜査が時として事件そのものを真相に導く、という趣向がちょっと痛快です。
Season 1では他人に対する口の利き方がやや馴れ馴れしい印象がありましたが、Season 3ではほぼ誰に対しても敬語、飄々として泰然自若、という最新のシリーズに繋がる糸村の人物像が完成してます。Seson 3からの安心感はただ事ではなかった。
そして、実はかなり感心しているのが、スペシャル版のクオリティと密度です。この主人公のスタイルでは、入り組んだ話は作りにくい――下手に込み入った内容にすると、糸村みたいな異端はなかなか捜査の本筋に絡めづらい。しかしそれを、スペシャル1作目では病院占拠、2作目は遺留品の配達から劇場型の誘拐事件に巻き込まれ、3作目ではバックドラフトの原理を利用した連続爆破事件、という大きな枠の中で、ちゃんと糸村の動き回る余地を作り、そして最終的に、糸村の着実な捜査が真相へと辿り着く。テレビシリーズ1話の倍にもなる尺でもギリギリになりそうなくらいのアイディアを詰め込んで魅せてます。スペシャル1作目では糸村さん、占拠された病院に何となく潜入し、満身創痍になって事態を収拾してるし。
そして、このシリーズの真価である、糸村が3分を拝借して語る、隠された背景のもたらす感動が、ちゃんと尺に応じて膨らんでる。この項はリアルタイムで第4作を観ながら書いているのですが、現時点では、Season 3の第3話、そしてスペシャルの第1作と第3作のクライマックスが圧巻……いまちょうど第4作のクライマックスですけど、これもいい。複雑窮まる誘拐事件の重層的な背景のあとに繰り広げられるドラマが、また重層的に胸に迫ってきます。
まだ新シリーズの予定すら発表されてないので、ひとまずこの配信で最新シリーズまで順繰りに辿って、渇を癒そうと思います。
……しかしこのシリーズ、私はいったいいつからリアルタイムで観てたんだろう。月島中央署在籍の時代のエピソードは断片的に観てたくらいで、シリーズ全話を追うようになったのは京都府警に異動してから、のはずなんですが……まあ、そのうちはっきりするだろう。このあと、いよいよ京都に異動するSeason 4に突入します。

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