一昨日は、運動したり歯医者に行ったり、酒林堂チャンネルを観ているあいだを除いて取っ組み合い、日付を跨いで1時過ぎに無事終了。
で、感想を記そうと思うのですが……これをネタばらしなしで書くのは歯痒くて仕方ないので、ガッツリ書いてしまいます。改行をたくさん挟んでおくので、まだプレイ中であるとか、そのうち手をつける予定、という方はスクロールせずに別のページに移動してください。間違いなく言えるのは、本当に情報は最小限にしたほうが楽しめる、ですから。
……もうちょっと挟むよ!
……これ、『砂の器』だなあ。
もちろん展開もテーマも全然違う。けど、構成とか語り口で『砂の器』、それも映画のほうを強く意識している気がしてなりませんでした。真のエンドロール、BGMの曲調も相俟って、『砂の器』の劇中曲『運命』を聴いてる気分だったわ。曲違うけど。
ただまあ、前作、リメイク版でも同様ですが、やっぱりミステリとしてはだいぶ不満がある。各章の終盤で行われる、そこまでの情報をもとに推理するくだりは、推理というより情報の整理と言ったほうがいい。また、随所でキーワードを文字パレットで入力したり、情報が反映された探偵ノートの単語から選んで指定する箇所があるのですが、設定された正解以外受け入れられないのはどーしても引っかかる。どう考えても、キーワード的には“紙袋”で済むのに、他の項目にある文章を選択しなきゃ正解と見做されなかったのは、憮然としました、正しい意味で。
そしてクライマックスの唐突感はやっぱりもったいない。章題のところで“終章”と出たとき、ここで?! と訝しさのほうが増したものです。だって、まだまだ謎はたくさんあるし、ここで急速に真相に迫るのは釈然としない。しかし本当にそこからは一気に進むし、ドラマは圧巻なのですが、終わったところで説明不足の感が強く、エンドロールを眺めながら、消化不良の気分を味わいました。
ただ、だからこそエンドロールを挟み、実質タイトルを変更して、深層編が始まる、という演出は巧妙。主人公たちのボスなのに空木探偵が基本出て来ない、というシリーズのお約束を逆手に取って、別行動で解き明かした事実を、聞き込みの過程から始まり、最終的には断片的な記録や証言に基づいて描かれるドラマで見せていく。この構造が本当に『砂の器』チック。ましてドラマが、故郷を捨てた男の物語であり、それゆえに辿った凄惨すぎる魂の遍歴ですから。
空木探偵の言うとおり、罪は罪。決して許されるものではない。けれど、その過ちに至る多くの不幸、それゆえに形成された歪んだ理解、結果として起こしてしまった惨劇はあまりに悲しく、胸を打つ。ラスト、たった1行で示される、叶うわけなどない願いがあまりにも切ない。
旧2作より遙かに重く、描写もエグい本編ですが、いまや成長したかつてのプレイヤーなら受け入れられる、そして現代の価値観が成熟しつつある若きプレイヤーにもきっと響く、という、作り手の信頼に基づく賭けだったのでしょう。あらゆる購入者に受け入れられる、とは断言しがたいですが、少なくとも私は震えた。
久々に、歯応えのあるAVGを楽しませていただきました。感謝。
……でもまだイケません? もう1本、いや2、3本くらい新作用意できません? 現時点で発表はないけれど、首を長くして待ちます。もうろくろっ首になってもいいわ。
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