こういう味噌でいいのよ、こういうので。

 11月14日の映画鑑賞のあとの話。

 日本橋ふくしま館のイートインは、福島県の飲食店が入れ替わりで出店し、ご当地の味を楽しめるのが魅力。私にとっては、ラーメン記事のネタを提供してくれる意味でもありがたい。
 ただ、やっぱりわざわざ東京に出張してくれる店舗は多くなく、わりと同じような店舗がループしていることが多い。もちろん、気に入ったお店や料理が来れば訪れるようにしてますが、すぐに解るような変化でもない限り、改めてネタにすることはない。
 しかしこの日は、それまで見たことがない――或いは私のアンテナに引っかかってなかったお店が来ていた。故に、同日の映画鑑賞ののち、迷うことなく訪ねたのです。

檜枝岐村 かどやの味噌ラーメン。

 お店は福島県南西にある檜枝岐村に所在のかどや。調べてみるとこの檜枝岐村、豪雪地帯で1kmあたりの人口密度が日本でもいちばん低く、観光業が主体のためサービス業就業者の割合が突出している……となかなか情報量の多い土地。かどやはご当地の名物である裁ちそばをメインで提供しているようですが、ラーメンも提供しているらしい。このときのふくしま館では、最初の2日に裁ちそばを、残り2日に味噌ラーメンを提供していて、こちらのスケジュールの兼ね合いもあって、出店最終日だったこの日に、味噌ラーメンを食べに行ったわけです。
 浸かっているのはもやしとタマネギ、そしてニラだけ。およそ見栄えとか気にしていないシンプルな具材と盛り付けが却って新鮮です。
 ひとまず具材とともにスープを啜ってみる。一口目で身体がじんわり火照るくらい辛い。耐えられないほどじゃないけど、ず~っとヒリヒリします。味噌の風味や保温効果も感じますが、それよりこの辛味が即効的に身体を温めてくれる感じが、如何にも豪雪地帯の料理、という気がします。
 写真ではほぼ見えない麺は、私の好きな中太縮れ麺。茹で加減はちょっと軟らかめですが、それ故にスープの味わいがよく絡み、よく染みこむ。小麦のほんのりとした甘み、もちもちとした歯ごたえを留めながら、絡みの効いたスープと渾然となって口の中を満たしてくれます。
 辛味が強いので味変などは難しいでしょうが、正直、箸は止まりません。タマネギともやしのシャキッとした歯ごたえとニラの優しい苦みが随所でアクセントとなり、辛さが食欲を引き立てて、ひたすら食べ続けてしまう。食べれば食べるほど身体も暖まってくる。この日、比較的暖かな陽気になったのに、冷え込みの対策でやや厚着をしていた私は、むしろ暑さで怠くなるくらい暖まってしまいました。
 具材も少ないので、語ることはあまり多くありませんが、しかしこれがいい。何なら毎日食べても飽きないかも知れない、そのくらいの安心感と暖かさに浸れる味。真面目に、近所にお店があるなら、週一くらいで通いたいくらいです……お店の場所や、現地での必要性を考えると、あんまりふくしま館への出張はなさそうですが、次の来訪が今から楽しみです。次回は、裁ちそばのほうも楽しんでみたい。

檜枝岐村 かどや出店時の日本橋ふくしま館 MIDETTE店頭に掲示されたメニュー案内。
檜枝岐村 かどや出店時の日本橋ふくしま館 MIDETTE店頭に掲示されたメニュー案内。

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