5月15日、東京03単独公演開催前の話。
東京03の単独公演と、数年前に復活したYEBISU GARDEN CINEMAがあるので、年に最低1回は訪ねる恵比寿なのですが、ラーメン店の開拓が出来ていない。以前、北の大地というお店が新宿から移転してきたので、何度か利用しましたが、気づいたら新宿に出戻ってしまった。その北の大地が営業していない時間に食事をしようと思って見つけたお店は、ある理由から見限って、2度と訪れるつもりはない。この日、早めに現地入りして腹拵えするにあたり、新しいお店を開拓することにしました。
とはいえ時間は限られているので、前日までにネットで周囲のラーメン店を検索し、行きたいお店はほぼ決めていた――駅ビルにあるどうとんぼり神座とか、途中で見つけたうどんのお店とかにも心惹かれましたけれど、最優先候補に考えていたお店が、どうやらスムーズに入店出来そうなので、ここに確定しました。
訪れたのは、瞠 みはる 恵比寿店。ネットの情報では、いつ訪ねてもそれなりに混んでいる、とあったのですが、さすがに夕方17時台はガラガラ、というか客はいませんでした。これはこれで若干居心地は悪いですが、店員さんの感じはよかったので、まずは味を楽しむことにする。
注文したのは、比内地鶏のあぶらそば。いつもトッピングに注文する味玉は、はじめからついてます。はじめは注文するつもりでいたんですが、券売機のボタンにちゃんと“味玉つき”と書いてあったので、足さずに済みました。さすがに2個は過剰よ。
どうやらこのお店、看板から察するに、もともとは濃厚魚介ラーメンが売りのようですが、あぶらそばもけっこう押しだしている。しかも、比内地鶏の脂を押しだしているメニューはちょっと珍しい。著しく興味を惹かれたので、ふだん私はあぶらそばをあんまり頼みませんが、今日はあえてこれにしてみた。
着丼したとき、まず麺がほぼ見えない。刻みタマネギに細切れにしたメンマ、水菜と厚切りのチャーシュー2枚、海苔1枚と丸のまんまの味玉。隙間からちらりと覗くのはストレートの太麺。
まずは具材を混ぜず、麺だけ啜ってみる。提供する前に、ある程度タレと混ぜてくれているようで、ちゃんと味がします。醤油ベースのタレに、確かに鶏の脂と思しいコクが加わっている。分量が適度なので、とても食べやすい。
麺の味が解ったところで、他の具材と混ぜていく。ただし、チャーシューは思いのほかしっかりとした歯応えがあって、箸では解れないため、混ぜるのはタマネギと水菜、メンマ、そして底にある脂分。しかしこれがなかなか具合がいい。底から濃いけど後味のいい脂を絡めて濃厚にする一方、歯応えを残す程度に刻んだタマネギのシャキシャキとした爽やかさ、水菜の爽やかな苦み、そしてメンマのはっきりとした歯応えが細かに変化を付けて、箸を進める。他のお店だとホロホロに柔らかく煮込んで、混ぜる具の一部にもされるチャーシューをあえて固めに仕上げたことで、箸休めに――なってる、と言えるのかどうか。だって、味付けはしてあるけれどほどほどで豚肉の風味の強い、なかなか存在感のあるチャーシューなのです。歯応えもちょっと強めなので、箸休めというか景気づけだろうか。
個人的に困ったのは、いつもなら大好きな海苔の扱いです。ラーメン店にて、丼に貼りつけて提供される類の海苔は、けっこうしっかりしていて箸では千切れない。出来ればこれは、もっとバリバリのものにして、適当なところで千切って混ぜられた方がいいように思います。次の機会があるなら、海苔だけ別盛りにしてもらおうかしら。
味玉は、君は柔らかめに固まった状態での提供。黄身が溶け出すことでもう一段階変化を加える、というのもいいのですが、あぶらそばはどうしても、混ぜてしまうために全体が平板になってしまうので、チャーシュー共々単独で成立しているほうがいい。これが通常料金で添えられているのも、色々と考慮したことが窺えます。
秀版の味変は、自家製海老ラー油をちょっと落として混ぜてみました……が、これはもっと思い切って観るべきでした。ひと匙程度では大きな変化はなかった。お酢もラー油もあって、更にカウンターには“あぶらそばの味変にはタバスコがお薦め”なんて書いてあったので、大人しく従うべきだったかも知れません。
そんな具合で、最後までほとんどおんなじ味で楽しむことになってしまいましたが、それでも楽しめる美味しさと適度なサッパリ加減は、とても私の好み。本当に、恵比寿を慌てて訪れて、考える余裕もなく栄養補給しなければならないようなタイミングで、すぐ足を運べる店の心当たりがなくなっていたところで、そういう意味ではいちばんいいお店を見つけられた気がします。次がいつになるかは解りませんけど、恵比寿で食事をする必要があるときの、最優先候補には入れておきたい。
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