2018年2月にリリースされた『ベスト・オブ・心霊~パンデミック~ Vol.2』を鑑賞。寝過ごして辿り着いた無人駅で得体の知れないものと遭遇する“あたりちらす”、廃墟を舞台にした企画ものAV撮影中に怪異が起きる“たすけて”、スタッフが先輩から相談を受けて調査を始めた怪奇現象が思わぬ事態に発展する前後篇“おりてくる”など10篇を収録。
初期はけっこう楽しんでましたが、だんだんと質が落ちていった印象のあるこのシリーズ、原因は徳丸というスタッフの言動にあるため、ドキュメンタリー部分で味付けしていく長篇は特に微妙な出来になる傾向がある――恐らくは本人ではなく、そういうふうに演出しているディレクターの技倆に問題があるんだと思うのですが、それでもこの方の印象はあんまし良くない。
ただ、そのなかでもこのベストに収録された“おりてくる”は比較的まともな部類だと思います。一部引っかかるところはありますし、そもそも前篇最後に出てくる動画がどうして手許に来たのか? という不自然さはありますが、映像に起きている異変を手懸かりに現場を探し出す、とかいったプロセスに見応えがあるので、少なくともベストに選んだのは納得がいく。
しかし、それ以外の映像については全般にいまいち……というより、別の巻に入っていればそんなに気にならないけど、並べられると類似点が引っかかるものが多い、という構成のミスがまずい。そこそこの本数あるんですから、作品の選び方に気を遣って欲しい。エピソードそれぞれの取っかかりに違いがあって、怪奇ドキュメンタリーとしての多彩さは感じられるんですが、何だかんだ言ってもこういう作品を観るのはドキュメンタリーの出来以上に映像の不気味さ、怖さを求めているひとのほうが多数派なんですから、“ベスト”と銘打ち複数巻出すのならばそういうところも配慮が必要。
……だからつまりは、“演出の腕に問題あり”という結論に行き着いてしまうんだよなあ。
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