今年2月リリースの『心霊闇動画40』を鑑賞。ぬいぐるみに起きた怪奇現象を記録するために回したカメラが更なる恐怖を目撃してしまう“水が出る”、友人の誕生日を祝うパーティでの異変と過去との奇妙な因縁“既読”、川辺で撮影された不可解な出来事にまつわる背景を追った前後篇“妹”など全7篇を収録。
相も変わらず堅実な『ほん呪』フォロワーっぷり。怪奇映像そのものは、人物や手がばっちり映ってしまっていまいち信用しにくいんですが、シチュエーションの設定や、取材で掘り下げた背景によって恐怖を盛り上げる、という趣向はしっかり押さえてる。独創性や新味があるわけではないけれど、安定感はある。
今回、このシリーズとしては珍しい前後篇のエピソードがありますが、正直なところ、内容はいまいち。取材しているうちに、怪異の原因に近い人物と遭遇する、というシチュエーション自体は面白いんですが、そこからあんまり膨らまないし、明らかに胡乱な話をあっさり受け入れてしまうのが引っかかる。肝心の映像の作りが安易なことも含め、怖さよりもモヤモヤが残ります。
エピソードの出来としては、“既読”がいちばん優秀かも知れません。肝心の投稿映像が、パーティの最中に撮影された怪奇現象、というありがちな設定にも拘わらず、インタビュー部分で明かされる過去の事情が、結果としてその映像に妙な説得力を生んでいる。
ホームランはないけれど、ちょっとしたヒットはときどき繰り出してくれる。だいぶ巻数を重ねましたが、この調子ならまだ楽しませてくれそう――現行の『ほん呪』よりはまだ安心して観てられる。
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