今年7月リリースの『ほんとにあった!呪いのビデオ92』を鑑賞。いじめの現場で起きた異変を捉えた映像“酬い”、里帰りした投稿者が祖母の畑仕事を手伝っている際、奇妙な存在に遭遇する“誘うもの”、無観客配信ライブのなかに紛れ込んだ女性の正体を追ううちにある狂気へと迫っていく前後篇“おまじない”など、全7篇を収録。
新たな演出が着任してからでは、とりあえずいまのところ、いちばんましな出来。
やっぱり加工の不自然さは強くなってるし、過去の秀作と比較すると安易すぎるきらいはあるのですが、楽しむことは出来る水準。せめてこのくらいは平均として出して欲しい。
また今巻は、長篇がなかなか面白かった。映像の出来よりも、背景を追っていくうちに浮き彫りになるファン心理の闇がなかなかの恐怖を醸成してます。やり口もさりながら、あそこまでしてその結果がこの状況、というのも怖い。映像そのものは派手でなくても怪奇ドキュメンタリーは成り立つ、というのを証明してる。
ただし、冒頭と最後のくだりは邪魔。新たに加わった演出補と挨拶するくだりがありますが、いままでそんなシーンを入れたことなんかほとんどないのに、何故わざわざ挟むのか。そして終盤の彼らです。
……とりあえず、あの活動内容の詳細がまったく解らん組織に語らせるのはやめたほうがいい、と思う、心から。そこまではまあまあ面白かったのに、無茶苦茶胡散臭くなってるから。だいいち、専門家標榜してて、“おまじない”が実質“呪い”であることに言及しないのは不自然すぎる。
そして彼らの助言を踏まえてのオチもはっきり言って余計。この解釈を踏まえれば原因のひとつがこれまでにない趣向になるから、という理由で採り入れたのかも知れませんが、あくまで想像に過ぎないし、映像の投稿者からすれば不愉快極まる内容でもある。あんな助言をするなら、それに必要なケアを提案すべきでしょ。あまりにやり方が雑すぎる。
少なくとも、この演出に代わってからの作品ではいちばん楽しめましたが、それでも気配りの悪さは否めない。まずは、説得力のない専門家を切ることから始めた方がいいと思う。
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