昨年12月リリースの『封印映像50 暗黒の走者 後編』を鑑賞。これまでも幾度か登場した《K》と呼ばれる投稿者の秘密にまつわる“心霊スポット案内人3”と“ 同 4”、スタッフが所属していた大学の映画研究会に残されていた謎の映像を追う“自殺の名所”、そしてAD田中の失踪と言うシリーズ最大のトラブルに立ち向かった表題作の全4篇を収録。
シリーズ50本目を記念してなのか、純粋な単発ものはなく、表題作以外がすべてリンクしていく構造。そして、旧巻でのネタにもしばしば言及する、総決算的な内容になってます。霊能力者も都合3人出てくる大盤振る舞いだぜ。
では出来がいいか、と問われると……合格点はあげられない。昔のエピソードに触れること自体、初見の客を遠ざける要因なのであまりお勧め出来ないのに、全体的に内容に説得力が乏しい。《K》みたいな人がいたら、このシリーズ以外の怪奇ドキュメンタリーでも存在をちらつかせて然るべきでしょうし、彼がこのシリーズを狙って関与してきた理由も、ここで立て続けに登場した理由も解らない。ラストも不自然すぎて、ここで終わらせるなら、そうした“動機”を追求すべきはなかったか
そして、前巻からの壮大なフリを回収する表題作も、なんだかしっくり来ない。クライマックスの展開はなかなか派手で、まあ見応えがある、とも言えるんですが、ヤりすぎてフィクション臭さが濃厚になってます。なんというか、白石晃士監督の『コワすぎ!』を観てるような感覚でした……言い換えると、フィクションとして鑑賞すれば、まあ楽しめる。ただしその場合、雑な決着が引っかかってくる。けっきょく何が起きてたんだよ。せめて、終盤にもうちょっと説明や、追求があるべきではなかったか。
『ほん呪』フォロワーを貫きつつ、個性的なレギュラーを採り入れて独自の魅力を育ててきたシリーズですが、50巻の節目で、全体の整合性を図るセンスがないことを露呈してしまった感じ。現時点で、このあと更に5巻を積み上げ、12月には56巻もリリースされるようですが……どう続けてるんでしょうね、このあと。
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