1月3日に鑑賞、2022年4月リリースの『心霊闇動画64』です。深夜に山の麓の公園で記録された怪異《スイカ》、ダンスチームを結成した若者たちが練習中に撮影してしまった《橋の下の黒い人》、旧家で撮影された、過去の悲劇にまつわる怪異《いちひこさん》など、全6篇を収録。
なにがビックリしたって、BGMが変更になったことにまずビックリしました。レーベルのロゴのあと、聴こえてくる、と身構えていたのと違う音楽が流れてくると、そのことに一瞬慄然とします……慣れてないからね。タイトルロゴの音楽も変更になってるし、何かあったのか、それとも急に趣向を変えようと思ったのか? と思ったら、エンドロールにて、これまで演出補だった尾崎香仁が構成・演出に昇格しているのを確認。納得。
それゆえにか、これまでず~っと指摘してきた不満がやっとちょっと解消してました。なにかと言えば、投稿者とともに撮影場所を訪ねて取材を行っている。
ようやくやって欲しい見せ方をしてくれた、と思う一方で、せっかく現地を訪ねるのなら、どういう状況ならあの映像が記録出来るのか、いったいどこが異常なのか、を検証するくらいの工夫は欲しかった。けっきょく、撮影場所で関係者についてのエピソードを聞いているだけで、あまり意味を為していないのは残念。
また、全般に暗視モードでの映像がやけに多いとか、映り込みに対する反応が似たり寄ったり、というのも気になるところ。相変わらず月1本のリリースを継続している、ということは、それだけのストックがあるはずですから、もうちょっと分散してもいいのでは。あえて、近しいシチュエーションでの様々なパターンを押さえようとしているのだ、と好意的に捉えても、その意義が感じられないのでは仕方ない。
しかし巻末に収録された《記憶を食べる》の展開はちょっと面白かった。映像的にはほぼほぼ有り体で、なおかつ怪異はちょっと行きすぎに感じられるんですが、興味深いのは、怪異に遭遇したあとの展開です。これはかなり特異だし、ある意味、普通の怪奇映像よりも怖い。体験者の、日常が蝕まれていくかのような後日談が尚更に不気味です。
基本的にはまだまだ従来と同じような欠点も目立っていますが、新しい試みや、取材方法の変更など、今後の成長にちょっと期待の持てる仕上がり。早いところ最新巻に追いつこうと、このところ意識して集中的に鑑賞してきましたが、初めていい気分で観終えることが出来た気がする。
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