だからいま、誰が演出してんのよ。[レンタルDVD鑑賞日記その793]

 2月5日に、2022年3月リリースの『封印映像57 心霊』を鑑賞。暴行目的で女性を物色していた男たちが遭遇する恐怖《誘拐》、偶然にも恋人と瓜二つだった女性を誕生日のサプライズに連れてきて起きた悲劇《ドッペルゲンガー》、渓流釣りをするため山の中に入っていった男性達が異様なものに遭遇する《ガンコガシ》、前作でスタッフを襲った非常事態を決着させるべく因縁の場所に向かう表題作の全4篇を収録。
 冒頭の《誘拐》は怪異よりも、撮影者含む一団の行動がまず胸糞悪くて冷静に見てられません……まあ、色々と不穏な言動をしている割に、映っている範囲ではけっきょく大したことをしていないので、中途半端にコンプライアンスに気を遣ったホラードラマ、という印象は拭えてない。また、途中で怪異に気づく瞬間や、それに対する登場人物の反応が不自然なので、白けてしまうのも否めない。
 続く《ドッペルゲンガー》は、誕生日パーティというシチュエーションはありがちながら、展開の着眼点はいい……しかし、映り込んだ怪異の加工感が強すぎて台無しです。こういうのはあんな露骨な見せ方ではなく、もっとぼんやりと映る程度でいい、と思う。普通に認識できる事実だけで充分に怖いんだから。そういう意味では、出来事だけで終わっている《ガンコガシ》のほうがまとまっている。
 問題は表題作です。前作でスタッフを襲った異変のその後を描いたものですが、正直もう、何がしたいのか解りません。どうして前作であんなことが起きたのか不明なら、他のスタッフが解決を図るために、もっと前の作品で登場したいちばん危険そうなスポットに向かうのも意味不明。その前にやることたくさんあるだろ、捜索願出すとか、家族友人にあたってみるとか。このエピソードには他にも、シリーズ旧作で登場した要素やいなくなった人が存在を仄めかしていて、シリーズとしてのクライマックスめいた趣があるのですが、現象とそれに対するリアクション、結末、すべてがうまく結びついていないので、「出ているひとたちがなんか解らんことでギャーギャー騒いでいる」という印象しか残りません。シリーズ第1作からずっと観ている私でさえそんな感じなんですから、通称“心霊処理場”やかつての準レギュラーである霊能力者ジョン・クロウの存在も知らないようなライトな、或いはごく最近の作品しか観ていないような人にはまっったく伝わらないと思う。
 今回の巻をもって、スタッフの編成も大幅に見直さねばならない事態に陥っているのですから、今後はどういう態勢で送るのか、そういうことも最後にちょっと語っておかなければ今後が心配になるし、そもそも「これで終わりなのカナ?」という気分になって、追うのを止めてしまう恐れもある。そういうところにまで気を回さないのが、このシリーズの詰めの甘さを象徴しているようです……ほんとに、次巻以降どうするんだろうね。調べてみると、既にここから5巻リリースされてるみたいですけど……演出は誰がしてるのだ?

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