2月15日に、2022年8月リリースの『心霊~パンデミック~ フェイズ25』を鑑賞。小型ドローンのカメラが撮した異様な存在《もどってきた》、ドライブデートのあとで駐車場に愛車を駐めようとしていた際に撮影された異変《バックする》、温泉街の廃墟を訪れた男性達を襲う恐怖《おとしもの》、塾での講義を撮影していたときあり得ないものが出没した《レクチャーする》、都市伝説として知られる儀式を記録した人びとの顛末を追った前後篇《一人かくれんぼ》の全6篇を収録。
怪奇映像の内容がどうこう以前に、音量のバランスを考えて収録してくれんだろうか。オープニングの音楽がやたら攻撃的になったなー、と思ったら、本篇に入って最初のインタビューのくだり、音声を加工していたせいもあるのでしょうけれど、尋常でなく聴き取りづらい。そしていちおう事態が終息したあと、スタッフルームの給湯室か喫煙室か、で行われている会話すら聴きとりづらい。他の映像と音量のバランスを調整するか、それが難しいのなら、インタビュー部分は捨ててナレーションやテロップでフォローする方向に切り替えるべきではないのか。なんか、こういうところにここのスタッフの無神経っぷりが透けて見えて苛々します。
あと、常々思ってるんですが、スタッフが欠けた、とか新規スタッフの面接、とかそういうくだりは要りません。投稿映像の内容や、その取材の展開に絡むような内容でもない限り、見せる必要はないですし、こっちは見たくもありません。そもそも他人の品定めできるほどまともな仕事をしてない徳丸が偉そうに喋るな。この前の巻で意味もなく取材に無気力だったの、こっちは忘れてないぞ。それ以前に、プロなら音量のレベル調整ぐらい考慮出来るようにしてくれ。
肝心の怪奇映像はまあ、概ねいつも通り、たぶん合成だろうけど適度に不気味、そして微妙なシチュエーションのかぶり方が気になる。《もどってきた》《バックする》《レクチャーする》は、微妙にシチュエーションは違うので、それなりに見ていられるものの、映り込み方が似ているので、結果として似たような印象になってしまう。唯一、《おとしもの》だけがちょっと工夫を感じましたが、これだけ異常な展開なら、もうちょっとインパクトのある結末が欲しかったところ。これが本当にあったこととすれば、あの怪異の異様さで、こんな拍子抜けに終わることはなさそうだし。
新人スタッフの面接のグダグダっぷりで嫌気を誘う長篇《一人かくれんぼ》も、怪奇映像とその取材のくだりになるとけっこう面白かった。明らかに言動が常軌を逸した投稿者、友人たちに起こる異変と、取材中に明らかになる事実。なんとなくこの辺の展開が、突如としてゲスト参加した、『心霊マスターテープ-EYE-』を手懸けた谷口猛演出の作風みたいなものが透けて見えるのですが、それはそれで一興ではあった。《おとしもの》同様、これだけ派手な事態になって、それで収束するのか? という疑問はありますが、少なくとも退屈はしなかった。
ただし、案の定と言うべきか、新人スタッフ採用のくだりを入れる必然性は皆無でした。クライマックスでこの新人スタッフが活躍を見せますが、単に配役という観点から言えば、もともと在籍していた演出補・金井が同じ役割をしてもよかったし、たとえもうちょっと新人ならではの着眼だったとしても、紹介のくだりなんか、あんな長々と挿入する必要はない。エピローグ的な部分を喫煙中の会話で補っているのに、音量の調整すらしていないため聴きとりにくい、という致命的な失態も含めて、なんだか素人っぽさが滲み出ます――それゆえに、カメラスタッフらしき人物の「煙草をやめるくらいだったら映像やめます」という台詞に白けます……仕事にしてるんだったら、もうちょっと見え方に気を遣えよおお。
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