いまどきそんな台詞、プリキュアでも聞かないぞ。[レンタルDVD鑑賞日記その805]

 3月26日に、2022年7月リリースの『封印映像60 呪い声』を鑑賞。河原でドローン撮影を試みていた投稿者達が遭遇した恐怖《墜落したドローン映像》、ホラー映画撮影に用いられたメモリーカードに残されていた不気味な映像《呪物》、旅の途中で迷い込んだ土地での奇妙な体験を辿る《デイデンボメ》、アニメのアフレコで起きた異様な出来事にまつわる表題作の全4篇を収録。
 未だに演出補・田中も、本来の演出担当も戻ってきてませんが、シリーズは普通に続いている。しかも今回はぜんぶ、ちょっと変わった出来事ばかりです。なので、ホラーとして鑑賞する分にはまあまあ楽しめる。
 ……んだけど、やっぱり諸々抜けてる。
 まず《呪物》は、肝心の映像を記録したメモリーカードが厳重に封印されているのに、何故ここのスタッフは取材に臨んだのか。そこの説明がないので、のっけから違和感がありますし、追求すべきは映像よりも“何故、メモリーカードに宗教的な封印が施されているのか?”になってしまっているのに、そこをまるっとスルーしてる。投稿者が体調不良を言い訳に退出して以降、連絡が取れなくなった、という経緯になってますが、この展開ならそもそも撮影する前にもうちょっと事情を聞いてません? そこからもっと手繰りませんか?
 特にいけないのが表題作です。シチュエーション自体はなかなか不気味でいいのです、が――映像のなかで、被写体となっている声優が吹き込んでいる台詞が、あり得ないくらいに雑。いったいどこでこんな白々しい脚本使ってアニメ作ってるんだ。経緯を考えると、アニメの製作自体が中断している可能性は低いので、この場合、権利の関係もあって、そもそも本篇のなかでは台詞自体を可能な限り曖昧に見せなければいけないはず。そういう配慮がないので、せっかく面白いシチュエーションもただただ“胡散臭い”しか残らない。
 相変わらず、関係者の会話から芝居っぽさが抜けてないのも気になりますが、全体に発想としては決して悪くはないのです。ただ、作り手としての拙さ、杜撰さが、「もしかして本当かも」という気分はおろか、「まあ、この嘘の出来なら付き合ってもいいかな」という気持ちにもさせてくれない。
 消えた演出がいたときでもこんな感じなので、戻ってきたところで質が向上することは期待しにくいんですが、とりあえずどんなきっかけでもいいので、少し仕切り直して、態勢を見直したほうがいいと思う。アイディア自体は凝ってるんですから、たぶん伸びしろはある。

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