本日届いて、作業の傍ら即鑑賞、2023年3月リリースの『心霊~パンデミック~フェイズ26』です。《ちんもくする》、有り体の肝試しが思わぬ事件に至る《おぶじぇ》、撮影のスタッフをしていた女性が持っていた備品の携帯電話が突如としてアラームを鳴らした際の怪奇映像についての取材が思わぬ展開を見せる前後篇《2:15》など、全6篇を収録。
……ここのスタッフは普通に常識がないと思う。
今回、スタッフ・徳丸は不在。どうも病気療養中で、続巻には復帰するらしいですが、金井という女性スタッフの姿もない――怪奇ドキュメンタリーの経験がありそうな女性スタッフはいるものの、正直こっちの方はあんまし見覚えがなく、画面の印象が違う。
一方で、怪奇ドキュメンタリーの経験もないらしい新人スタッフが冒頭から登場しますが、右も左も解らない新人を、カメラマンとふたりだけで投稿映像の舞台に送りこんでいる。本当に検証するつもりなら、もっとメンバーを用意する、やっと入った新人がきちんと手順を踏めるように指導する、というのが普通ですが、本当にただ安易に放り込んでいる。あまつさえ、“内部で声を上げると呪われる”という噂のあるトンネルなのに、新人ひとりで入って声を出してこい、と言う。本当に呪われて、入ったばっかりのスタッフが辞めたら、最悪害を被ったらどうするのだ。
むろん、投稿映像がフェイクであるのはこっちも承知してますが、そういうスタッフの姿勢が更に説得力を損なっている。いつものスタッフが登場しないうちに本質的な出来の悪さを露呈しているのがこのシリーズらしくはある。
2本目の《ざんげする》は展開的によくあるもの、なおかつ検証もないので、却ってそこまで文句をつける必要はなくなりそうなものですが、なかなか気づきにくい異変に言及するくだりで、一切解りやすさを考慮していないのが不愉快。確認するため、無駄に何度も同じ場所を巻き戻してしまいました……なんとか言わんとするところは解りましたが、確認しての感想は、「よく気づいたなこれ」でした。PCの再生用ソフトで鑑賞したとき、正直まったく解らなかった。
そして肝心の長篇《2:15》でも、いくら携帯電話を預かっているとは言い条、持ち主に許可を取らずに通話記録を見る、なんて言い出していて、それを収録してしまっているのがどうしようもない。筐体ごと預けているのが許可の証、と言ってますが、そうだとしても道義というものがあるだろ。こういうことをしておいて、同じスタッフが終盤で「この業界にろくな奴はいない」と口走るの、本当にとりあえず鏡を見ろ、と言いたい。
感心したのは、別々のエピソードの想定していなかった部分が突然結びついて、ぞわっとする怖さをもたらす展開になっている点。このシリーズはもともと、そういう連鎖的な題材もしばしば扱っていた覚えがあって――出来のいい時期が短かったから忘れてたよ――そういう意味では、久々にいい刺激を受けた気分。
そして長篇《2:15》も、展開自体は嫌いではない。なぜあの人がターゲットになったのか、最後に何が起こるのかを伏せた意味が解らない、という疑問や、終盤で明かされる仕掛けの痕跡が見つかってしまう不自然さをスルーしているあたりの違和感、といったツッコミどころもありますが、話としての見応えはあった。ただし、“徳丸ならどうする?”とか自問しなくていい。あのひとのやり方がいちばんおかしいんだから、いい加減その姿勢を見直しなさい。
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