遮る壁が多すぎる。[レンタルDVD鑑賞日記その861]

ほんとにあった!呪いのビデオ 105 [DVD]

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 1月29日に、2022年3月リリースの『ほんとにあった!呪いのビデオ105』を鑑賞。出産を控えた夫婦が、赤ちゃんを綺麗にする練習をしていたところ不気味な現象が起きる《沐浴》、天体観測のために山の中で車を駐め休憩していた親子が、あり得ないものと遭遇してしまう《車中泊》、投稿者の身の回りで起こる怪奇現象の背景を追ううちに、意外なドラマに遭遇する《骸の知らせ》など、全7篇を収録。
 今更だけど、やっぱりこのシリーズこそ、怪奇ドキュメンタリーの元祖なんだな、と改めて痛感しました。巻によって仕上がりに違いはあったし、巻を跨ぐ連作が釈然としない巻引きになることもあったりしましたが、それでも他のフォロワーと比べれば水準を上回っている。このところ、他のシリーズものの微妙な出来映えに嘆きがちだった私の目には、この巻の仕上がりは神々しくすら思えます。
 単発のエピソードだけでも仕上がりが違う。粗筋を掲げた3篇は特に秀逸ですが、怪異の発見と記録がユニークな《ケモノ》もいい。他のエピソードについては、まあ若干引っかかるところがあるのも事実なんですが、不気味さ、怖さはちゃんとある。
 とはいえやっぱり素晴らしいのは長篇の《骸の知らせ》です。リモート会議を記録した映像に起きた怪奇現象から、依頼人自身の周囲で何か起きていることが判明、最初の映像を検証していくうちに新たな現象が起き、そこから彼女の過去と絡む人間ドラマが浮上していく。
 当初はあまりにも不吉な怪異の連続に怯えていた投稿者が、そこに繋がる因縁の正体を知るに従い反応が変わり、終盤は恐怖よりも哀しみのほうが膨らんでいく。現実としてどうしようもない幕引きが、いっそ切なくさえあります。それでもやはり、背後にある怪異は恐ろしく、あまりに理不尽なんだけど、もはやそれ以上に、怪異を伴うドラマとして優秀すぎる。
 しかもこのエピソード、色々と現代的な要素が詰まっていて、社会派のような趣もある。依頼人と事態に関係があると思われる人物との繋がりや、置かれていた境遇。直接絡まない部分にも、このシリーズ初期にはなかった要素、価値観が鏤められていて、意外なほど見応えもある。このシリーズとしては珍しいオープニング映像や“Replay”の背景映像にまで、長篇と絡めた意味合いがあるのにも唸らされます。
 この情感に富んだ締め括りからすると、劇場版も含めていい仕事をしてきた藤本裕貴演出もそろそろ卒業の時期なのかも、と感じてしまったのですが、勘ぐりすぎだろうか。Wikipediaには、109まで藤本演出と記されてますが、果たして。

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