7月3日に、2023年11月リリースの『心霊~パンデミック~フェイズ28』を鑑賞。名前を呼ぶと霊が出る、という噂のある川を友人と訪ねた投稿者が体験する恐怖《こたえる》、女子会のために借りたレンタルルームのマニュアルに記載された奇妙な注意書きを面白半分で破った顛末《へんなるーる》、自宅にてポルターガイスト現象に悩まされる女性を助けるべく奔走したスタッフが辿り着いた衝撃の結末までを描く《腐食》前後篇など、全6篇を収録。
久しぶりに鑑賞したせいか、一時期だいぶ事務的に鑑賞してたはずが、今回はけっこう楽しめました。巻を重ねるごとにスタッフの微妙な言動に対する苛立ちと、そこに滲む不自然さに若干うんざりしてたんですが、もともと怪奇ドキュメンタリーとしては先鋭的なシリーズで、単発作品にはまあまあ見所の多いものが多かったのよね。だから、スタッフの言動が鼻につかなければ楽しめる。
とはいえ、やっぱり今回もスタッフの言動は引っかかる。監修の小笠原敬もちょっとだけ画面に出てきましたが、徳丸に勝るとも劣らない態度の悪さですこぶる好感度が低い。当人達はこのキャラが受けている、という認識なのかも知れませんが、あまりにも怪異に関係のないところで不快感を齎してるだけなので、もうちょっと気を遣ったほうがいいと思う。別に普段は横柄でもぞんざいでも構わないけど、作品に使うときの態度ぐらい考えようよ。その辺、『ほん呪』なんかちゃんと反映してるぞ。若干許せるのは、自分たちの吹き出物やむくみを「霊障かも」と囁きあう徳丸とカメラマンに「アトピーとかじゃないですよ。煙草ですよ。そういうところですよ」とスタッフ佐久間が切って捨ててくれたお陰だと思う。嫌煙家ではない非喫煙者である私ですが、こいつらは観てても吸いすぎだもの。
ただその代わり、エピソードとしては全般に見応えがありました。怪異の発生がやや類型的だけど展開、結末が薄気味悪い《こたえる》、意外で確実に死に迫っていた怖さのある《くらやみ》、展開としてはやっぱり典型だけど、道具立てとその後が不気味さを醸し出す《へんなるーる》、それぞれに単独でも興味深い。
そして、けっこう派手な“心霊事件”という趣のある《腐食》は、最近としては出色だと思う。フェイクと捉えれば露骨すぎる怪異にちょっと失笑してしまいますけれど、このレベルの異変と、関係者の様子からすれば、ある意味当然ではある。今回も徳丸が節度を逸脱した言動で一触即発の事態になりますが、クライマックスに関して派、いささか過敏になるのも致し方のないところですし、それが衝撃的な結末を導いたことを思えば、ドラマとして必然的……どうしたって“フェイク”という前提でないと評価しづらいレベルではあるけれど、少なくともホラーとしては面白かったし、あの決着はしたけれど苦い後味を残す決着も秀逸。
個人的にこのシリーズの嫌いな部分も強いまんまですが、このシリーズの最近作としてはかなり出来のいい部類に入ると思います……久々にいつもと違うシリーズを鑑賞して、私の見方がちょっと寛容になっただけかも知れませんけど。
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