8月18日に、2018年12月リリースの『心霊曼邪羅13』を鑑賞。怪奇現象がよく起こると言われる児童公園を訪ねたカップルが遭遇した恐怖《取り憑かれた児童公園》、心霊スポットと呼ばれる公衆トイレを深夜に訪れた投稿者達が恐怖に見舞われる《棄てられた怨響》、元マネジャーである投稿者がアイドルの撮影会の様子を記録した映像に起きた異常《アイドル撮影会》など、全11篇を収録。
巻数ふた桁を超えて、安定に入った、とも言えますが、それ以上にマンネリが加速してる感は否めない。相変わらず、怪異が捉えられるまでの流れはそれぞれに違いがあって、工夫の痕跡は窺えるけど、肝心の怪異がほとんど、カメラを横に向ける、被写体に戻る、後ろにドーン! というのの繰り返しなので、幾ら後ろにいるものが薄気味悪くても「またか」とうんざりするほうが先に立つ。作品の中でひとくちに“霊”呼ばわりされてるモノだって、それぞれに事情や個性があるんだから、もうちょっと色々なパターンがあるでしょうに。
一方で、ちょっとひねった導入でも、一部の展開がしっくり来ないものもある。《忌まわしい霊感》は、友人の引越に付き合った撮影者が、その友人とともに周囲を散策していると、橋に差しかかったところで友人が不調を訴える、というシチュエーション。そこまではいいんですけど、そんなに霊感があるなら、あの“現象”についてもっと明確なリアクションがあって然るべきではなかろうか。そもそも“霊感”なんて明確な定義がないので、現象と結果が結びつかなくてもおかしいとは言い切れない。とはいえ、“霊媒体質”まである、と自称している友人があの状況になってたら、たぶん現場を立ち去っただけで済まさないと思う。ちゃんと対処しようよ。
この巻で唯一、それなりに関心を惹かれたのは《アイドル撮影会》です。かなり序盤から映像に異変があり、終盤でそれがはっきりと不気味な像を結ぶ、という流れはなかなか……怖いか、と聞かれると微妙な顔になってしまうけれど、面白い。ナレーションで添えられるオチは退屈だけど、少なくとも映像としては一番インパクトがある。
深夜の公衆トイレに置き去りにされたラジカセと、どこから響いてきたか解らない不気味な音響、というシチュエーションは興味を惹く《棄てられた怨響》も、そこまではいいのに、肝心の映像として捉えられた怪異に面白みがなさ過ぎる、とか、いいところまで行っているエピソードはあっても、その興味深いところの掘り下げが甘い。《アイドル撮影会》とかこの《棄てられた怨響》とかは、姉妹シリーズの『心霊盂蘭盆』のように、ちゃんと取材パートを含めて、現地での調査も実施して初めてネタとして成り立ったのではなかろうか。
この時点でのリリース速度の似通った『心霊闇動画』シリーズに比べれば、志も意欲も感じる出来だけど、やっぱり粗製濫造が酷くなっている印象。多少破綻してても、ちゃんと物語性のある『心霊盂蘭盆』のほうが私には好みなのかなぁ。
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