芝居のつけかたを研究してくれい。[レンタルDVD鑑賞日記その889]

封印映像71 ある怪物製作者の取材(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 12月6日に、2022年3月リリースの『封印映像71 ある怪物製作者の取材』を鑑賞。好奇心から恋人ともに“自殺の名所”と呼ばれる土地に赴いた男性が襲われる恐怖《ついていく》、AIにデータを取り込ませ、埋蔵金探しをする、という趣向の動画撮影で起きた異変を記録した《埋蔵金AI》、購入したピアノに起きる異変を記録して欲しい、と友人に頼まれた投稿者が友人宅で体験した恐怖《共鳴》、特殊造形の作家を取材した結果、お蔵入りとなった映像に映り込む怪異を追った表題作の全4篇を収録。
 このシリーズはこのシリーズで、必ずしも他の怪奇ドキュメンタリーと被りきっていないトーンを手に入れていて、解っていれば楽しめる。下を見ればきりがないからね。
 とはいえ、やっぱり芝居の拙さと、投稿に至る経緯や映像で語られる内容にいちいち不自然なところがあるのは気になる。しかも、表題作にそれが顕著というのが大問題です。タイトルに冠するくらいなんだから、もっと丁寧に作れよ。怪奇現象の仕上がりの粗さもさることながら、怪異に至るまでの成り行きが不自然だし、リアクションもあまり腑に落ちない。何より、映像の登場人物もインタビュイーも、台詞を喋っているような印象しか受けないのはどうなのだ。本当に一連の出来事を体験するなり、接するなりしたひとなら、自分の言葉で話せるでしょ。
 ただ、冒頭の《ついていく》だけは、投稿者と映像に映る人の演技のレベルが高く、これだけなら嘘に付き合って本物として感想を書こうかな、と思うレベルでした。このエピソードの投稿者だけは、ちゃんと自身の体験として、自分の言葉で話している感じが出てるのです。
《埋蔵金AI》みたいに、着眼点のいいネタもあるだけに、《ついていく》くらい関係者を演じる人々のレベルが上がればもっとましになるのになー……とはいえ、スタッフとして登場するふたりの会話がず~っと台詞っぽいまんまなので、まだまだ改善は見込めないかなあ。

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