1月13日に、2022年3月リリースの『心霊盂蘭盆Vol.9 おぼろ比丘尼の呪骸』を鑑賞。声優が特典映像として使うために始めた撮影が不気味な結末を迎える《覗き女》、亡くなった男性がかつて撮影した河川敷での異様なひと幕《幽霊正体枯尾花》、一連の投稿映像の背景を探る表題作など、全5篇を収録。
今回は実質長篇。3本目まではそれぞれ独立したエピソードなんですが、それが4本目《タイムカプセル》で急に合流し、表題作で結実する。
個々の映像のリアリティはさておき、ホラーとしてはかなり鑑賞に堪える出来になってます。展開として不気味で、独立していたはずのエピソードに共通点が見出され、恐ろしい背景が明確になっていく過程は、なかなか見応えがある。同様の趣向は既に他のシリーズで何度もやってますし、まだまだこなれてはいないけれど、作品として観ていて面白い。
とはいえ、色々とツッコみたいことはある。いくら怪現象だからって、《覗き女》の状況は突飛に過ぎる。恐らく一連の怪異のきっかけになったと思われる出来事に関わる《タイムカプセル》は、過去の出来事がさすがに若気の至りとはいえやり過ぎ。そもそも、タイムカプセルはあとで見つけなきゃいけないのに、容器をその場で見繕っちゃ駄目でしょ。タイムカプセルと言うからには各人がそれぞれ何かしら思い出のものや将来の自分に対する手紙を入れるはずなのに、一切入ってないことをあまり気にしてないのも不可解。何より、タイムカプセルを埋めるのには森の中はかなり不適当。整備されたり、災害で動いたりして、見つからなくなる――というのは、予め想定できる人が関係者にいないと避けられないので、まあよしとしよう。いっとき流行であちこちにタイムカプセルが埋められたけど、行方知れずになってる、なんてざらにあることだし。
細かいツッコみどころはあるものの、このくらいのレベルがあれば、以降も追う気になります……とはいえ、前作までは心許ない部分が多々あったし、同じスタッフが手がけ、平行して巻を重ねる『心霊曼邪羅』は同時期の段階でまだまだ低調であることを思うと、必ずしも信用は仕切れませんが。ともあれ、もうちょっと観続ける気にはなった。
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