3月26日に、2022年3月リリースの『心霊曼邪羅17』を鑑賞。飲み会帰りに結婚指輪を落とした夫婦の様子を記録した映像に不気味なものが映り込む《オトシモノ探し》、元恋人からのストーカー行為に悩む男性が記録のために残した映像が恐怖を捉える《深夜の来訪者》、パワースポット巡りが趣味のカップルが遭遇した怪異を探る《谺響の再怨》前後編など、全8篇を収録。
うーん、今回も微妙。
全般に、怪異が見づらいし、解りづらい。リプレイやスロー再生のタイミングで、コントラストの調整などをして見やすくする、といった工夫はして欲しい。
しかしこの巻でいちばん引っかかるのは、前後篇で構成された《谺響の再怨》です。撮影者の恋人が中国人で日本語が通じない、という、こういう怪奇ドキュメンタリーでは意外と珍しい設定に驚きますが、いざ怪異を記録した映像が登場すると、そんな話がどうでも良くなるくらい不自然。あんなあり得ないことが目の前で起きたら、まず困惑、動揺が先に立つはず。なのに、撮影者の反応は異様なほど単純です。状況が変わってからの反応も、何段階かに分かれていていいはずなのに、いささか単純すぎる。内容があまりにも不審です。
もっと気になるのは、ドキュメンタリー部分です。あの映像に接した者なら、被写体の身になにが起こったのか、当事者の目線からの感覚をもっと知りたいはず。それこそが前述の中国人で、恋人である撮影者の通訳を介さねばならないとは言い条、追求が甘すぎる。
更に訝しいのは、後篇の展開です。わざわざ関係者を連れて、撮影現場まで向かったのに、手前で引き返してしまう甘さと、終盤を過去作品の映像で済ませてしまう手抜き具合が非常に印象が悪い。関係者がギリギリで躊躇してしまうのは仕方ないとしても、スタッフだけで現場がどのような状況なのか、確かめてみることは出来るはず。仮にそれが難しいとし手も、せっかく現地まで赴いているのですから、もうちょっと周辺で調査することは出来たはず。
このシリーズ、ドキュメンタリー部分は増えても、そこが薄味なので、ただの嵩増しにしか思えない傾向がある。今巻は、それが窮まってしまった気がします。調べたふりをするにしても、もっと工夫しましょ。
単発作品についても、全般に怪異が見づらいこともさることながら、撮影された場所、シチュエーション共にツッコみどころが多い傾向にある。《悪霊憑き》は、この状況でカメラを持ちっぱなしなのも、レンズの向きを変えてそちらに意識を向けるのも変。《曰くのホテル》というエピソードは、そもそもここがホテルだ、というのがよく解らない。妙に暗いし、今日日のホテルでは滅多に見ない窓だし、そもそもなんであんなに部屋を暗くしてるのか。怪異を意識的に見づらくするため、というのもあるでしょうが、本物のホテルが確保出来ず、まるで違う場所をホテルの一室と装うために、他の部分が見えないよう照明を落とした、という見方も出来る。リアリティをせめて付与するために、撮影場所となったホテルを、モザイクなどを駆使して場所が解らないようにしつつ取材するとか、せめて撮影者にホテルの所在や環境を説明してもらう、くらいの補強は必要でした。
長篇作品もそうですが、肝心の怪異が映ったときの反応の不自然さがやたらと気になるエピソードが多い。さすがに17巻も続けてきて、姉妹編もリリースしてるんですから、もーちょっと成長を見せて欲しい。なんだか、タチの悪い手の抜き方だけ巧くなってないか?
彼の身に何が起きてたのかってば。[レンタルDVD鑑賞日記その901]

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