4月6日に、2024年8月リリースの『心霊闇動画91』を鑑賞。仕事で訪れた建物の地下室を探索する映像に怪異が紛れ込む《半地下》、恋人の新居に泊まりに向かうとき、普段は通らない道を利用したときに訪れた恐怖《近道》、泊まりに来た友人に悪戯を仕掛ける際の映像に異様なものが映り込んでしまった《寝起きドッキリ》など、全6篇を収録。
相変わらず作り物っぽさ、取材パートの安易さが消せてません。まあそれは予算や、シリーズとしての作風として通している部分もあるのでしょうから、許容できなくはない。しかし個人的には、怪異よりも気になるところがある。
顕著な例が《近道》です。取材パートもあって、このシリーズでは力の入っている部類に属するのですが、肝心の怪異よりも、その直前の部分が不自然で引っかかる。肝心のものが登場するとき、画面左側から腕が伸びて、映像の中でずっと被写体になっている女性の左腕に触れるのですが、伸びてきた腕が誰のものか解らない。シチュエーションからすれば、撮影者でもある男性の腕、と考えるべきなんでしょうが、それにしては腕の出てくる位置が不自然。超常現象でないとしても、触れて欲しかった点です。
これがフェイクである、という前提に立つと、この不自然さが余計に引っかかる。肝心の怪異から興味が逸れてしまうような違和感を残すのは、演出として駄目すぎだと思うのです。よくこんなのに気づいたな、というくらい隅っこに怪異が現れてもいい、明らかに作り物っぽくても緩そう。ただしそれは、怪異そのものに怖いとか面白いとか、何らかの強い印象を与えるものであって欲しい。も論、リアルであれば、別の不自然と怪異が同時に存在して、怪異のインパクトが薄れる、ということもあるだろうけれど、少なくともそういうのは、ドキュメンタリー部分を加えるほど、比較的力の入ったエピソードでやるべきじゃない。
……たぶん、このアングルで怪異を入れるから、カメラをこの位置にちゃんと向けておくように、という指示があったのではなかろうか。だから、普通はスマホの画面なりカメラのモニターなりを見たまま手を伸ばすべきところを、画角を動かさないように手を伸ばしたので、普通とは違うところから出てきてしまったのではなかろうか。
真偽はどうあれ、こういう疑いを抱かせてしまう時点で、やっぱり怪奇ドキュメンタリーの作品としては駄目だと思う。……そろそろ3桁の大台に達しようとしてるのに、なんでこんなに熟れないんだろう、このシリーズ。
せめて怪異に集中させてくれー。[レンタルDVD鑑賞日記その902]

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