さすがにアレを食べる猛者はいなかった。[レンタルDVD鑑賞日記その904]

呪われた心霊動画 XXX_ZERO 03(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 5月27日に、2025年4月リリースの『呪われた心霊動画 XXX_ZERO 03』を鑑賞。監視カメラ映像を楽しむうちに心霊映像を集めはじめてしまった奇妙な人物からの投稿《ライブカメラ・マニアックス1-ゆがみ-》、オカルト愛好家同士で組んだグループのひとりが、廃墟に赴く様子を報告するうちに異常な事態に至る《グループライン》、投稿者の実家にあったビデオテープに残された不気味な映像《古いニュース映像》など、全5篇を収録。
 やはり現行のシリーズで、『ほん呪』を別格とすれば、これがトップクラスだと思う。2度目の区切りを経て3ターン目に入っても、相変わらず飛ばしてます。
 正直に言えば冒頭の《ライブカメラ~》は今のところ説明のくだりが面白いだけ、という印象ですが、ナンバリングしてあるし、投稿者自身も他に持っている、と断言しているので、たぶん続くのでしょう。今後に期待したい――たぶん内容的にも、これで終わりではあるまい。
 2本目の《燃える椅子》からはこのシリーズの本領です。本当の出所も、撮影された意図も、何もかも不明なビデオテープを枕にして入った3本目《グループライン》からの3本は、何かしらリンクするものが窺えて、観ていてゾクゾクします。
 そして、個々のエピソードが撮影された経緯も興味深い。
 LINEのグループ似て、廃墟に潜入した友人のレポートにリアルタイムで反応する過程を見せる《グループライン》は、往年の匿名掲示板で展開した伝説的エピソードに似た趣がある。あちらと違い、ちゃんと顔も名前も認識している人々のはずなのに、最終的にそれすら怪しくなっていくのが不気味です。
 しかし個人的に好きなのは次の《幻の洋館》です。投稿者の体験とスタッフによる追跡調査の成り行きも面白いのですが、特に秀逸なのは、肝心の投稿映像です。このエピソードはいわゆる“迷い家”の系譜にあたるものでしょうが、もしこういう状況でカメラを回していたらどうなるか、という疑問に対する答として成立している。惜しむらくは、せっかく現物の映像が、プロの手許にあるのに、映像の調整を施した検証を施していないこと。なんにも解らなくても、話と食い違うものが見つかっても、それはそれで興味深かったのですが。
 このシリーズが生まれるきっかけとなった傑作『死画像』の1篇《クニコ》を彷彿とさせる導入の《古いニュース映像》は、そういう意味では期待していると肩透かしを食らいます――が、この作品、エピソードの中で説明する以上に不気味に映るのは私だけだろうか。タイトルにもある、ビデオテープに突如として挿入されたニュースの録画映像に登場する人物、どこかで観たことはないか?
 見過ごしている、というより、その辺を敢えて語ることなく収録しているあたりが、このシリーズの憎いところです。個々の映像のインパクトという点では、過去の傑作群に及ばないまでも、このシリーズが依然として怪奇ドキュメンタリーにおけるトップランナーのひとつであることを証明する仕上がりでした。

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