山で怖いのは幽霊だけじゃないでしょ?[レンタルDVD鑑賞日記その923]

心霊曼邪羅21(Amazon.co.jp商品ページにリンク)

 12月10日に、2020年2月リリースの『心霊曼邪羅21』を鑑賞。マッチングアプリを経由していちどだけ会った男性から届けられた不気味な動画から始まる《悪戯呪師》、生配信中に眠ってしまった撮影者に起きた異変の記録《寝落ち》、投稿者の彼氏がオカルト系YouTuberを志して心霊スポットを撮影したことで見舞われた怪異《遭遇》前後編など、全8篇を収録。
 久々に新しいシリーズを発掘してみようと、このシリーズを鑑賞し始めた当時は多少期待があったのですが、近頃はこうした怪奇ドキュメンタリーでもだいぶ微妙な部類に属する、と私の中で評価が固まりつつあります。この巻は、私がそう考える理由がだいたい出てる。
 映像だけで終わらせず、投稿者、撮影者への取材でエピソードの怖さや面白さを引き出そうと工夫していることは評価出来ますが、そうする上で、きちんと現実的に筋の通った展開に出来ていない。たとえば《寝落ち》は、怪異が映り込んだのがどんな場所だったのか、映像終盤はどういうことなのか、などの説明が足りていない。撮影者が寝落ちしてそのままだったとしたなら、最後に映り込んだのは撮影者の身体の一部ではないわけで、そこも含めて怪異になるはずなんですが、何故説明がないのか。説明がないから、確認していない、そもそも疑問にも思ってない、
 普通ならば気合を入れ、丁寧に制作していて然るべき長篇《遭遇》がまず問題だらけです。そもそも、オカルト系YouTuberになろう、とわざわざ友人を誘って心霊スポットまで赴いた男性が、何故この映像をこのシリーズに提供したのか。応募者はこの撮影者の恋人である女性、ということになってますが、そもそも何故、本人ではなく恋人が投稿したのか。普通はそこにも経緯があるはずですが、本篇中で説明する気配もない。成り行きからして、アップするには不適当、と判断された可能性はありますが、じゃあなんで投稿ならOKで、本篇スタッフもそれを採用したのか。
 取材部分の行動も不可解です。現実として危険な噂のある場所に踏み込むのに、投稿と同じ状況にしたい、と言ってわざわざ夜間に踏み込んでますが、この場所は“山”、しかも投稿映像の終盤に出てきた人物が“私有地”と言っている。映像の撮影者が“私有地”という説明に、「いやここ山ですけど」と戸惑っているのは、まあ撮影者が無知なのだ、で済む話ですが、スタッフ側はそうはいかない。噂が事実なら、撮影場所は犯罪と結びつく場所で、投稿映像最後に現れた近隣の人物と思われる人々は犯罪に関わっている可能性だってあるわけです。最低限、本当に私有地なのか、だとすれば所有者は誰なのか確認する必要がある。まして、そんな場所に“投稿映像と同じ状況する”などと言って、日が沈んだあとに踏み込むのは、軽率極まりない。“愚か”と言い切っていい。
 ドキュメンタリー部分のない、映像とナレーションのみの作品にも、引っかかるところはありますが、この長篇ほどではないので、まだ観ていられる。……そうしてみると、工夫をしよう、という姿勢が徒になってるのか? そうは考えたくないけれど、ぶっちゃけ、期待は出来た所期の方がよかったのかも。

 なお、前巻もそうでしたが、今回もDVDのほうはもう新品では入手不能と思われるので、上の画像のリンクはPrime Video版に設定致しました。勧めはしませんけど、私がツッコんでたポイントを確認したい方はどうぞ。

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