スレイヤーズすぺしゃる(27) スタンプ・トゥ・キル

スレイヤーズすぺしゃる(27) スタンプ・トゥ・キル スレイヤーズすぺしゃる(27) スタンプ・トゥ・キル』

神坂一[著]/あらいずみるい[イラスト]

判型:文庫判

レーベル : 富士見ファンタジア文庫

版元:富士見書房

発行:平成18年07月25日

isbn:4829118393

本体価格:520円

商品ページ:[bk1amazon]

 前巻から僅か三ヶ月というハイペースで登場の、ライトノベルの定番シリーズ第27巻。死の刻印を巡るドタバタ騒ぎを描いた表題作はじめ、記憶喪失の女との冒険『ロスト・メモリー』、人から貰った地図に記された“ジブン”を捜す男の話『セルフ・クエスト』、表題作で周囲に迷惑かけまくった男の家族も凄いという『ファミリー・ポートレート』、の四つのエピソードを収録。

 まあ、もうここまで来たら幾らでも話は作れるということなのでしょう。ぜんっぜん勢いは止みません。『ロスト・メモリー』は記憶喪失という定番の素材を著者らしく捻った料理の仕方をしていますし、『セルフ・クエスト』は“自分探し”という行為の滑稽さを徹底的にデフォルメし誇張してカッ飛んだ可笑しさにまで昇華している。なかでは最も正統派のファンタジーっぽい匂いのする表題作にしても、のちに独立したエピソードまで書かれるほどインパクトの大きいキャラクターを絡めたことでシリアスに傾斜しすぎず巧みにバランスを取っている。ずいぶん昔に長篇シリーズは完結しているのですからたまにはマジになっても誰も責めないと思うのですけれど、それでもシリアス含みの本編に対してコメディ中心、というスタイルを崩さないあたりが立派です。

 往年の愛読者にとっては言うことのない出来ですが、本書について敢えて苦言を呈すなら――ナーガが出ていない。いや出てないだけならいいとしても、カバーと口絵には何故か姿を見せているのが解せない。翻って、まったく出番がなかったことへのフォロー或いは罪滅ぼしとしてそちらには登場させた、ということなのかも知れませんが、出ていないのなら本気で省いてしまうか、ここにしかいませんよ、というのを更にギャグに昇華して欲しかったところです。……もう小説の中身とは関係のないツッコミになってしまってますが。

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