『もっけ』第24話 オモカゲ

 夏休みの間、親戚の家に身を寄せている東吾という少年が、何故か幽霊に逢いたがっていた。身内の幽霊なら逢いたくなるかも、と感じる静流と瑞生だったが、まさにそのときふたりの祖母が体調を崩して床に伏していた。痛ましい姿を避けるように、瑞生は東吾を手伝って、東吾の父親の幽霊を探し歩く……

 前回の予告編からはきな臭さを感じたのですが、思ったほど悪くありませんでした。というか、たぶんオリジナル・エピソードだと思うんですが、これまでの出来からすると奇跡に近い正統的な怪談。原作に登場していなかった祖母を敢えて出した以上、ラストでこうなることは予想できていたのですが、この扱いは悪くない。むしろ、主題からすれば理想的でした。

 ただ、そう考えるとシリーズ構成の拙さが改めて明白になります。こういう流れにしたいのなら、ちゃんと各々のエピソードで祖母が絡むようにしなきゃ駄目でしょう。想い出や記憶があって初めて、こういう展開が効果を上げるのですから。

 また、これまでの出来事でちゃんと瑞生の成長を描けていなかったことも痛恨です。ちゃんと薫陶が染みついていれば、ここまであからさまな反応はしなかったでしょう。ある程度哀しみは痛感したとしても。

 加えて、序盤のような、クライマックスで主題歌、なんて陳腐な手法は用いていないものの、相変わらず演出が稚拙です。音楽をむやみやたらに使って余韻を殺していますし、瑞生の泣き顔のアップはさすがに笑いにしかなりませんでした。ついでに、最終回仕様のEDも、橋本まいのバラード表現が下手すぎて、歌い始めた瞬間にイラッとしました。せっかく編曲を変えたのに背景がそのまんま、最後の笑顔もそのまんまで不似合いも著しい。演出のセンスのなさは最後まで成長できなかった模様。

 きちんと構成できていなかったためにシリーズの締め括りとしての効果は大いに殺がれてしまった印象ですが、ただ話としてはこれで良かったと思います。あとはもう、本当に、演出のセンスのなささえどうにかなっていたらなあ。作画は比較的落ち着いていた最終回ですが、結果としてそれも含めて実にアニメ版『もっけ』らしい、全体の出来を象徴する1話になってました。

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