危うく立ち見。

 世間的には三連休に入る金曜日、しかし私にとっては作業の大詰めです。睡眠時間が減るのは覚悟、というなかで、さすがに映画は後回し……とはいえ、これだけはどーしても観ておきたかった1本が本日最終回上映、と聞いては出かけないわけにはいかない。映像ソフトが出るの待てばいいじゃん、というご意見もありましょうが、その可能性も危ういからよけいに観に行かないとならんのです!

 お目当ての作品はレイトショーなので、ちょこっとだけ早めに夕食を摂ってから、電車にて渋谷へ。時間に余裕があればハシゴをしたいスケジュールですし、じっさいギリギリまで検討して、いい具合に嵌まる作品も見つけていたんですが、結局1本に絞りました。他は愉しみにとっておく。

 訪れたのは、宮益坂を登った先の路地にあるシアター・イメージフォーラム。急ぎ駆けつけチケットを購入したところ――立ち見の整理券でした。終映間際ゆえ、小さいほうのスクリーンでの上映ですし、ちょうど映画サービスデーと重なった、という条件もあったにしても、まさか立ち見になるとは思いませんでした。かといって、前述した通り、場合によっては映像ソフト化も行われない可能性が考えられるので、今日観ておかないと当分お目にかかれない、とも言い切れない。まあ2時間ぐらいならじーっと立ったままでも耐えられるほうなので、鑑賞する道を選びました。幸い、整理券だけ押さえて駆けつけなかったひとがいたのか、最前列ですが空席があったので、無事に座ることが出来ましたけど。

 作品は、ポルトガル発祥の地といわれるギマランイス歴史地区を舞台に、4人の名匠がそれぞれのスタイルで“革命”を描いたオムニバスポルトガル、ここに誕生す〜ギマランイス歴史地区』(LONGRIDE配給)。なにが観たかったか、って、現役最高齢であり、個人的に大好きな映画監督マノエル・ド・オリヴェイラの短篇です。

 他の監督もその筋では著名ですが、同時に芸術色の濃い作り手ばかりなので、“革命”というテーマがあっても扱いはストレートでなく、誰ひとり平明な筋で描いたりしていない。でも、それ故に実に噛み応えがあります。アキ・カウリスマキ監督の人を食ったような展開、生々しさと象徴だけで構成されたかのようなペドロ・コスタ監督もユニークですが、強烈なのはビクトル・エリセ監督の1本でした。実在した、長い歴史を持っていた工場を巡るドラマを、実際に関わっていたひとびとに対するスクリーン・テストという体裁で綴っていく独特の発想。しかしそれが、最後には背後に飾られた1枚の写真に深いドラマを感じさせてしまう、という組み立ての隙のなさと来たら。我らがオリヴェイラ監督は――相変わらずでした。じっくりと設けられた間に、空間を疑似体験させるかのようなカメラワークに、ちょっと人を食ったプロット。尺が短めなので、「これで終わり?!」と思ったのも否定しませんけど。何にしても、ミニシアターでじっくり堪能するに相応しい作品でありました。

 鑑賞後は脇目もふらずに帰宅。それにしても先日購入したXperia Z1は実に快適です。この項冒頭の下書きを作ったり、色々といじっていたのですが、電池の減りは実に緩やか。一緒に所持しているiPhone5と比較しても、ほとんど同程度の減りしか認められない、というのは、以前の機種を思うと夢のようでさえある。正直に言うと、Smart Watch 2のアプリケーションに結構いい加減な点が散見されてうんざりしてはいるのですが、Xperia Z1自体は長くお付き合い出来そうです。だからなおさらに、Smart Watch 2のアプリのチェックをもーちょっと繊細にして欲しいんですけど。

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