レンタルDVD鑑賞日記その662。

 今年3月に劇場で限定公開、そののちDVDリリースされた『ほんとにあった!呪いのビデオ BEST OF BEST』を鑑賞。三面鏡を前に遊ぶ女の子を撮影するカメラが捉えた異様な出来事“鏡の中”、AV女優の面接を記録した映像に残された不可解な現象“面接”、など全10篇を収録。
 怪奇ドキュメンタリーでも屈指の歴史を誇るシリーズのなかから、選りすぐりの傑作をまとめたものです。Amazonでのレビューは不評ですが、私が選んでもたぶん似たようなラインナップになる。強いて言うなら、『Special 5』収録の“疾走!”がないのが個人的には不満ですが……まあ、あれは怖いと言うより面白い映像なので仕方ないか。
 レビューで批判されてるのは巻末で、具体的なものは映ってない“ニューロシス”が選ばれてることのようですが、実のところ、撮影者の立場に立って考えれば、これほど怖い映像もない。場所は既に廃墟となって他に誰もいないレジャー施設、それも鏡の迷路のなかで、どこからともなく聞こえてくる怒声。どこから聞こえてくるのか解らない、どうやって逃げればいいのか解らない。どうにか迷路を脱出しても、あの神経に障る声が頭に響き続ける、と考えれば、体験として普通に怖い。それが記録となっていることもまた怖い。
 ホラーというのは、その真偽に関係なく、状況が想像できるか、が評価の上で重要なポイントで、作り手の側が観る側にリアルな恐怖を想像させる表現力も求められる一方、観る側にも一定の想像力が求められる。“ニューロシス”の怖さが想像できないひとには、きっとこういう怪奇ドキュメンタリーは楽しみにくいと思います。

 ……それにしても、ベストを選ぼうとすると、やっぱりビデオでリリースされてた時代の頃の作品が多くなってしまうんだな~。世の中にカメラが氾濫し、様々な場所で撮影されるようになった一方で、鮮明になりすぎた映像のなかには説得力のある怪異はなかなか見いだしにくくなってるのかも知れません。

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