『FESTA!! HYPER GIRLS POP』プレイ日記第4回

 御剣町側の久遠寺凜シナリオ、千神双葉シナリオ終了。出来は……もう言わずもがな。前者はある出来事ひとつで、中盤の紆余曲折など何もなくあっさり話がまとまってしまううえに説得力なし。後者はまだ多少キャラクター性を活かした筋にはなっていますが、まだてんで厚みが足りない。

 どうも奈々子商法は健在っぽいので、ここで御剣町はいったん脇に置いて、鏡町のほうのシナリオに移行してみた。

 ……天国に見える。シナリオが遥かに落ち着いている。世界観は突飛なままだが、ちゃんと地に足が着いている印象で、話運びも無理がない。そもそも登校初日の描写からして安定感が雲泥の差だ。何だこれ。どうして同じゲームでこうまで出来が違う?

 ただし、全体を通しての整合性は相変わらず良くない。御剣町側の描写では誰も上がってこない和やかな空間のように描写されていた昼休みの屋上は、鏡町側に移った途端カオスに陥っている。これはもう、ライター同士の意見調整が行われていないとしか思えません。話運びの安定感にしても内容の調整にしても、ライターというよりはディレクターの目がまったく行き届いていないのでしょう。鏡町のシナリオの安定ぶりはそのまま、ゲームとしての拙さを示す材料に過ぎません。

 ……ああ、しかし、御剣町があんまりだった反動か、鏡町のシナリオは遊んでいて落ち着きます。御剣町側だとただの大馬鹿娘でしかなかったお嬢様・獅童彩音が、こっちでは愛嬌のある大馬鹿娘になっている。犬娘・早坂恋水も読書家・日下部琴子も、御剣町のキャラクターたちよりはまだしも話に波があり、恋に落ちていく過程がそれなりに伝わってくるかたちになっています。

 しかしそれとて結局は比較の問題。出来がいい、と言っても、恋愛をメインに描くならこの程度は描いていて当たり前、というレベルに過ぎません。全員終盤は一気に片付けるつもりで、クライマックス手前で止めているため、ラストの処理までは確認していませんが、恋愛物でいちばん盛りあがるべき部分が大半お座なりにされている感は否めません。青春ものとしては決して悪くないのですが、恋愛物としてはあまりに緩い。やっぱり全体的にシナリオは赤点です。こと、琴子シナリオで登場するマニア向けの知識は、マニアを喜ばせる以上の役をまるで果たしていないので、大幅にカットすべきでした。別に笠井潔の大量死説とか持ち出さなくていいの。

 絵については、ところどころバランスが悪いくらいでさほど問題なし……と感じていたのですけど、しかし全体を俯瞰すると、塗りに統一感がないのがネック。一枚絵のCGならではの丁寧な塗りをしているものもあるかと思えば、枚数をこなすためのアニメ風のものも幾つか見受けられる。個人的にアニメ的な塗りでもそんなに文句は言わないほうなのですが、しかしちゃんと皺やグラデーションを描いているなかで、色の境界線そのまんまの絵が出て来たらそりゃ多少気分を害しようというものです。

 個人的に何よりも許せなかったのは、新刊書店と古書店がまったく同じ背景で表現されていたこと。違うだろてめぇ!! 新刊書店と古書店の佇まいは全然違うだろ?! そこまで本好きのキャラクター演出するなら、そのくらいの配慮を怠るなー!!!!!

 ……………………ごめんなさい取り乱しました。とにかく、ざっと遊んだところ、確かに御剣町より鏡町のほうがまだ出来はましですが、それでようやく水準という印象。全体を通しては平均点をかなり下回っている、という評価は覆せそうもありません。

 どうも主立ったエンディングを見届けると、そのあとに別のシナリオが始まるようですが……仮にそっちが面白くても逆に腹が立つだけという気もする。ここまでやったので完結はさせるつもりですが。

コメント

タイトルとURLをコピーしました