『ARIA The ANIMATION』第12話 その やわらかな願いは…

 雪が多いと画面が眩しくて見辛い。いやそんなことより、OPの美しさに久々に胸が震えました。雪に包まれたネオ・ヴェネツィアを背景に、エコーのかかったスキャットのみで歌うオープニングテーマ。素晴らしすぎる。冒頭だけで「あ、もうこのあと何もなくてもいいや」と思わされたのは初めての経験です。

 あ、内容説明を忘れてた。大雪で開店休業となったため、灯里は前々から行ってみたかった、古い橋を訪れる。橋を越えた向こう側で、灯里は自分に似た雰囲気の女性と知り合うのだった……

 どうやら、久々の完全なオリジナル・エピソードです。しかも以前のオリジナル・エピソードと共鳴しあっている。前回もそうでしたが、原作の精神を完璧なまでに踏襲して、更に膨らましている。この解釈と的確な表現、穏やかなのに終始痺れさせられました。『マディソン郡の橋』を彷彿とさせる橋のデザイン、異界に灯里を招く役割を担うケット・シーの絶妙な使い方、そして星野明子というオリジナル・キャラクターの設定の巧さ、クライマックスで水が水路を満たしていくそのさまの演出。子供達がレギュラー・キャラクターの面影をちょっとずつ反映している一方、決してオリジナルとの繋がりを仄めかしたりしないのも憎い。

 そしてエンディングテーマにもちょっとした工夫があった。クライマックスでいちど流してしまったのでどうするのかと思えば、アコースティック・ギターのみの伴奏になっている。ここに来て装飾を省いた音の作りが、更に余韻を深めている。いやあ、いい、いいぞこれは。

 見せ場だと解っていたのでしょう、前回のクライマックスなみの昂揚感が最後まで持続したシリーズ屈指の一話。そうして、満を持して次週にて完結。季節は足並みを合わせて、アクアが新しい年を迎えるその日を描くようです――内心、ラストはあの子の再訪で締めくくられるのでは、と勘繰っていたのですが、このタイミングだとちょっと難しいか? 話数のきりが良くないので、もしかしたら映像ソフト用の新作とかで補完するのだろうか。と、いまからあれこれ想像を逞しくしてしまうくらいに次週が楽しみなのでした。やっぱしこれもDVDは確保しないとあかんかなー。

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