古畑任三郎ファイナル・第3夜

 最終シリーズのトリを飾るのは、双子姉妹の脚本家・加賀美京子の事件。古畑が脚本の手伝いをしていた彼女の片割れが自殺らしき状況で死んだが、状況から古畑は彼女の犯行を疑わざるを得なくなる……

 …………え? これ、何? 何が不思議? どの辺に謎があったの? でけっきょく、何がしたかったの? 頭のなかで渦巻くのは事件の謎解きでも古畑の追求に対する興味でもなく、作品の出来に対する疑問符ばかり。

 これは本来、役者の演技によってミスリードすべきところが、主演女優のどうしようもない拙さのために総コケになった話、という捉え方で宜しいのでしょうか。台詞の扱いが雑で耳障りでしたし、そのあとのキャラクターの作りも平坦すぎて面白みがない。そもそも、脚本の組み立て自体が脆弱だったので、役者がよほど巧くないと本来の狙い通りの作品にならなかったでしょう。やっぱり、犯人役は松嶋菜々子には荷が重すぎました。

 ただし、困ったことにラストシーンは、シリーズの閉じ方として悪くない。犯人の設定が非常に狙いすましたものだったことはよく解りますし、余韻は深い。それだけに……役者とプロットの検討はもっと慎重にやって欲しかった。昨日までの二本でかなり納得していたから良かったものの、これ単独でラスト・ダンスと言われてたらきっと卓袱台返ししてました。

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