東京03 FROLIC A HOLIC feat. Creepy Nuts in 日本武道館 なんと括っていいか、まだ分からない 3月4日公演。

『東京03 FROLIC A HOLIC feat. Creepy Nuts in 日本武道館 なんと括っていいか、まだ分からない』の大看板が掲げられた日本武道館正面口。

 日本武道館でイベントを観るのは何年振りか。しかもよもや、東京03のこのイベントで訪れることになるとは。第10回単独公演における多数のゲストを招いたお祭りスタイルを敷衍し、03のスタンスを保ちつつも多数のゲストや生バンド、そして趣向を凝らした舞台装置を用いた《FROLIC A HOLIC》の5年振り新作を鑑賞するために、きのう出かけてきました。
 以前なら自転車で来てしまう距離ですが、如何せん、それなりに距離はあるし、坂も多いので消耗が激しい。それにイベントの余韻が帰り道のしんどさでかき消されがちなので、今回は電車を利用しました。
 出かける直前に訪問客が続いて出遅れてしまいましたが、特にトラブルもなく現地に到着。まずはグッズを買いに物販へ……東京03とCreepy Nuts各個のブースがあるのはともかく、佐久間Dの物販ブースまであった。確かに出てるが。武道館での公演はどこも物販を早い時間から始めてくれるので、待ち時間もなく購入出来ました。その代わり、大いに時間を持て余してます。この一文が現在進行形なのもそれ故なのです……始まる前にここまで書けてるのだ!
 ここから先は、記憶する範囲内でネタばらしアリで書いていきます。2日目の公演や配信、映像ソフトリリースをお待ちの方は、この先はご覧になりませぬよう。気にしない、という方は少し下までスクロールしてください。






































 毎回ステージの構成が凝っているこのイベント、今回もやっぱり攻めている。北側1階席正面に大きなモニターが設置されていて、その下にGentle Forest Jazz Bandのステージが設置されている。そこからミステリーサークルさながらに、中央を横切るかたちで延びた花道があり、ちょうどアリーナ中央に大きな円、その先にもうひとつ小さめの円が舞台として設けられている。中央に迫り上がりがあるのは何となく察しがつきますが、この時点で謎なのは小さい方の円に設置されたテーブルと椅子です。ちょうどバンドと反対側にあるのがターンテーブルなので、たぶんそこでDJ松永が何かやるのは解るけれど、それ以外は冒頭ではまだ謎。
 開演時間になると、アナウンスののち、豊本の語りと映像による諸注意。ここでちょっと会場を暖めつつ、既にオープニングのスタンバイが行われているのが憎い。

 そしていよいよ本篇です。まずはメイン5人だけで展開する《括れない悩み》。既に風格が出てきたとは言えまだ若手に属するCreepy Nutsの括りにくい悩みに飯塚が振り回され、何故か角田が切り捨てる、という構造。もちろんちゃんと稽古はしているんでしょうけれど、Creepy Nutsのふたりが堂に入ってました――ちょっと前の情報ではDJ松永がだいぶグズグズだったらしいんですが、ちゃんと仕上げてきてる。
 そこからオープニングテーマ《くくるな》へ。FAHでは必須のGentle Forest Jazz BandとCreepy Nuts、という意外な取り合わせですが、実にうまくマッチしている。圧巻は、ちゃんとヴォーカル部分をジャズに寄せてきたR-指定の達者さです。前2作では浜野謙太がやっていた、ホーンセクションとのアドリブの掛け合いまでしっかりこなしている。上手いのは知ってましたけど、改めて唸ってしまった。
 オープニングの後は03が吉住にエキストラも交えて演じる《人の目》。基本的にはいつもの安定感ある03節、とでもいうべき内容ですが、ほぼ全方位から観られることを考慮した人物配置になっているのも面白い。しかし素晴らしかったのは、途中まで黙っていた吉住が容喙してからです。相変わらずの03らしいトーンなのに、見事に吉住の世界観が突き刺さってる。ここだけでも充実感が凄い。
 続いてはCreepy Nutsと、近年オールナイトニッポンのパーソナリティとしても人気のプロデューサー佐久間宣行がメインで進行する《括れないラジオ①》。佐久間とDJ松永のラジオ番組に、謎のキャラ付をしたラッパーがゲスト出演する、という体で、途中のエピソードパートを佐倉綾音と角田らが演じる。ここは風変わりな編成とステージが存分に活かされてます……佐久間Dの 使い方がなんか、『ゴッドタン』のマジ歌ライブにおけるダイノジ大谷っぽかったのにちょっとニヤリとしてしまったが。
 ただひとつ腑に落ちないのは、このあとのCreepy Nuts×GFJBの演奏。バリトンサックスのソロパートで妙な部分があったんですが、あれはミスだったのか仕掛けだったのか。困ったことに、ちゃんと台本の流れで成立してしまってるのです。私は5日の回については配信も観ず、映像ソフトで確認するつもりだったので、そこまで真相はたぶん解らない。両日観たひとのネタばらし感想でも漁るか……。
 続いては《括れない感情》。東京03を軸に、異様に激しく変化をして文字通りに感情を掻き乱してくるひと幕……厳密には、登場人物のひとりがわやくちゃにされてるのでひたすら笑いを誘われます。
 ここで演奏を挟み、続いてのコントは《括れないラジオ②》。たぶんここが今回の公演におけるDJ松永最大の見せ場でしょう。佐倉綾音演じるおバカアイドルのおバカな言動をその場でサンプリングしてスクラッチで格好良くする、という離れ業。たぶんアドリブで佐久間が言っていたように、このくだりだけいつまでもやってられるし、観てられるくらいの凄さと面白さ。全力で振り切ったあやねるも圧巻。
 ふたたびの演奏を挟んで、今度は《居酒屋にて》……東京03の単独公演はだいたいそう題してもいいネタが1本あるよね、という奴ですが、ここも吉住が入ることで濃くなってる。今回の公演、すべての脚本をオークラが手懸けてるはずですが、途中の飯塚の発言がマジっぽいのは、長年の付き合いで本音を熟知してるからでしょう。たぶん角田はリアルであの状況になっても似たような始末になる。
 次は《Change My Life》。ここはほぼほぼR-指定の独壇場と言っていいパート。モノローグと台詞の一部をラップで表現するのも凄いのですが、合間の芝居がやたらとしっかりしてる。吉住、佐倉、そして03と順繰りに絡んで激変していくさまをパワフルに、ちゃんと笑いを取りながらも感動的に演じている。そしてそこから公演のオリジナル曲ではなく、持ち歌『サントラ』になだれ込んでいくのが格好いい。
 ここでVTRによる、角田の弾き語りつきアニメーションを挟んで、本篇としてのクライマックスとなる《やめる》へ。このFAHはお約束として、複数のコントの設定が最終的に収束していくのですが、今回もきっちりその爽快感を演出してくれます。ここまで2時間ぐらい要してますが、この昂揚感ゆえに「観た価値があった」と思わせてくれる。CMにも用いられた代表曲『のびしろ』の歌詞とのシンクロも素晴らしい。
 そしてラストは、この日限定のゲスト、オードリー若林正恭が登場しての追加コント。ここもFAHのお約束で、たぶんかなり自由度を高く組み立てているようで、若林が暴走して掻き回す掻き回す。たぶん台本にはなかったひとまでわざわざ呼び出して、挙句は控えていたバンドまで巻き込んでのぐちゃぐちゃっぷりは、いい意味でお祭っぽい。ちなみにこのパート、翌日は若林の相方・春日俊彰がやるのですが、パンフレットに書かれたセットリストを参照する限り、たぶん内容、構成ともにガラッと変わっている。基本的にこういう公演でわざわざ連日押さえることはしないのですが、今回は2日とも観に来て良かったかも、とちょっと後悔……そんな予算はなかったんだが。
 エンディングはふたたびCreepy NutsとGFJBのセッションによる盛大な演奏。ちょっと執拗なまでのカーテンコールまで含め、充実の約3時間超でした……毎度このイベントはこのくらいかかるのだ、ということを失念していたため、武道館の敷地を出る頃には空腹でふらふらでしたが、それでも気分的にはお腹いっぱい。映像ソフトが発売されたら間違いなく買う、けれどやっぱり、生で観ておいて正解の、未体験で贅沢な時間でありました。

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