坂井家当主の口から語られる、化猫と花嫁の因縁。だが、薬売りの男の刀は抜けない――まだ解くべき理が足りないのだ。化猫の熾烈な攻撃を極限で防ぎながら、男は遂に真実を見る――
最終話はますます妖怪大戦争でした。化猫の意表を衝く攻勢、刀を抜き妖怪と対峙した際の男のヴィジュアル、そして対決のさまなど、現代アニメの技術を駆使して実に迫力いっぱい。ホラー者としては、殺された者たちの扱いにも痺れました。あれはいい。
肝心の化猫が取り憑いた理由自体はありきたりのものですが、その描き方は実に哀しく説得力に満ちていました。こと、怨みの原点となった女性のあまりに儚げな美しさは、そのまま化猫の呪いの熾烈さと見事な対比を成していて秀逸です。ありきたりとはいえ、きちんとなぜこの日に呪いが現実となったのかを説明していることは評価されるべきでしょう。
シリーズの他の作品と異なり、オープニング・テーマの前にプロローグを挿入するやり方を逆手にとって、締め括りとなる今回はエンディング・テーマのあとにきちんとエピローグを付け加えるあたり、実に解っている。個人的にはラスト、つけすぎでももうひと言あって良かったように思いますが、この辺は好みの違いでしょう。
間違いなく『怪〜ayakashi〜』のなかでいちばんいい出来であり、映像作品として観てもかなりハイレベルな一本でした。大満足。
コメント
アクションのでろでろばりばりも見事なんですが、もうね、あの回想の猫の腹出してころころしてるのがね、私なぞにはどうにもですよ。
にしても、あのご隠居は家人が死に絶え使用人も去った邸でこの先も生きるんでしょうかね。描かれないけど、あの極彩色の部屋が寂れ崩れていく中での生活を想像すると。
そうそう、回想での猫さんも大変宜しゅうございました。……それだけにあとの運命が実に哀しい。最後のシーンに登場する猫、すっかり痩せてましたしねえ。
ご隠居については、まさにそう想像させることが狙いでしょう。あのエピローグによって、立場を逆転させる狙いもあったかも。出ていく者と、閉じこめられる者と。やっぱりよく出来てると思います、これ。