他所では既に大詰めまで来ているようですが、MXテレビでは二週間ぶり。またしてもつぐみの幻視した映像から、桜木という看護師が狙われていると察知し、彼女の周辺を探る柴田。だが、近所の評判もよく、男性の目を惹く存在ながら同僚からもやっかまれることのない品行方正な彼女を恨んでいる人間を探り出すことは出来なかった。恨まれるような女性が地獄に送られるのを止める必要はない、とやはり柴田の行動に否定的なつぐみだが、入院までして探りに赴いた柴田に付き添い、桜木の人柄に触れるうちに胸中に疑問が兆してきて……
……そもそも“地獄通信”って、それに相応しい怨みを抱いている人でないとアクセスできないという大前提があったと認識してたんですが。さもなきゃ面白半分に依頼する人間が多発して、とてもではありませんが執行人ですら納得のいかない仕事が、お付きの三人衆が言っているような僅かな割合でしか齎されないはずがない。改めて、根本のところで考証が乏しいことを露見しています。
しかもこういう動機の設定であれば、やはり歪な執着心や怨みのかたちをきちんと描写するべきで、今回のような処理の仕方はシリーズの焦点を暈かしているだけとしか思えない。だいいちあの動機ならば、恐らくは地獄通信になんか頼りません。己の手でどうにかします、あそこまでするくらいなら。仮に頼ったとしても、終盤の描写から類推して、糸を引く前に本人の前に姿を現したことでしょう。この時期に、つぐみの信念を揺るがせる出来事を持ってくるのも、そのためにあの看護師のようなキャラクターをターゲットにさせたのも間違いではないのだけど、やはり背景の掘り下げ方が足りない。
作画については毎度ながら閻魔あい登場シーンだけが質的に突出しているのに苦笑しますが、要所要所ではレベルを保っているのでまあ及第点というところ。がしかし、意味不明のイメージ映像が差し込まれて、しかもなぜそんな映像が見えたのかが謎のままであるため、どうももやもやした気分が残ります。今回のテーマからすると敢えてそういう表現を選んだ、と好意的に解釈も出来ますが、むしろ動機にしてもその表現にしても、もっとあからさまに歪であることを視聴者に示したほうが、今回の話の位置づけには適していた、と思うのですが。
終盤に来て、シリーズ全体からすると決して間違いではないエピソードが来ているだけに、その掘り下げの甘さがより目につくようになってます。本当に、本当に勿体ないことしてると思うぞ。
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